＜オーセイ・デュレス　レ・クレ　ブラン＞
　抜栓後デカンタをしてゴシゴシふって1時間弱ほど待ってからリーデル・ヴィノム・ブルゴーニュグラスへ。デカンタの時に粘土のような糸状の澱がどうしても舞ってしまうため、かなり濁ってしまったが、奥深い金色が何ともリッチな色合いだ。香りは閉じ気味ながら、ハチミツ、ハーブ、バター、白い大きめな花などが複雑に香り、口に含むとナッツや濡れた石のようなニュアンスも感じられる。味わい自体には派手なところがなく、幾分地味目ではあるものの、ミネラル感たっぷりの穏やかな味わいに、心も癒されるようである。染みこむような滑らかな味わいは、大地のエキスを吸い上げたシャルドネの奥ゆかしい一面を覗かせ、つくづくうまいのである。飲み進めても疲れず、長い余韻に身を任せつつ、このワインはムルソーの隣を意識させる素性のよさと、それに伴うポテンシャルの高さに納得しつつ、時間が経ってもへたれない酒質に、思わず凄いと呟いたりもする。決して派手ではない。されどしっかりとしたワイン。保存状態さえ確保されているのなら、安心の一杯である。

　ただ唯一の欠点は、このワインの美味しさの虜になってしまうと、シャソルネイのワインばかりを追い求めてしまうところ・・・だろうか。今宵の出会いに感謝である。


以上