ベルナール・デュガ・ピィ. | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2005年01月05日 | |||||||||||||||||||||||
<ヴォーヌ・ロマネ VV> 抜栓後デカンタをして蓋をせず2時間半ほど待ってからリーデル・ヴィノム・ブルゴーニュグラスへ。まだまだ全体に紫色を配する非常に濃いルビー色で、デュガ・ピィ色全開モード。香りにはスミレやバラ、カシス、ブルーベリー、スパイスなどが複雑に混ざり合っている。口に含めば、硬さの中に濃縮したエキスを感じ、大器晩成のポテンシャルを握り締めているような、背筋がピンと通るような緊張感ある味わい。余韻は長く、ぐうで握り締めた拳の硬さを思い知るほどの長さである。これぞ、デュガ・ピィの凄さを体感できる逸品だ。 しかし、今回は温度設定が想定よりも低くなってしまい、途中デカンタを懐に入れて抱いたり、グラスのボールの部分を包みこむ様に持ったり、いろいろ駆使したが、室温がほぼ外気温と同じくらい(10℃位?)の設定だったためか、どうしても液温を20℃前後まで上げることができず、本来の実力を発揮できずに飲み干してしまった感が否めなかったりした。 清冽な輝きをみせる紫色を配するルビー色は、かたくなにその両脇を引き締め、自らの貝に閉じこもったまま、懐を許す気配はなかった。それは、デカンタージュやリーデルの流線型をしてもその実力を開花させること適わず、温度という制御が最も難しい要因をワインに握られてしまったことによるものと推測される。まるで飛車角オチで上段者に対局するかのごとく心境であった。 温度を制するものは、ワインを制す。そんな心境に無念さを感じつつ、それでもデュガ・ピィの極めて高酒質の能力に脱帽する。そして毎度のことながら、デュガ・ピィと対峙する時、途方もない緊張感とともに今までの経験と知識をフル動員する様もまた、他のブルゴーニュにはない趣であるような気がするのであった。 貴重な経験に感謝である。 なお、このワインはフランスの評価本「ル・クラスモン2004」においてブルゴーニュのベスト7位にランクインしたワインで、飲めばなるほど、そんな評価もしたくなる逸品だった。 以上 |