サドヤ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年3月20日 | |||||||||||||||||||||||
<んんん> 今回のワインは日頃お世話になっている某氏の倉庫に眠っていたもので、勉強不足を露呈するようで恥ずかしい限りだが、事前の情報がまったくないワインである。数少ない手がかりを列挙してみよう。5点ほどある。 1.このワインが20年以上保管されていたこと。 2.サドヤという甲府の醸造所で造られたこと。 3.エチケットにVin de DESSERTと記載され、茶褐色のワインらしいこと。 4.シングルモルト系のボトルに入っていること(720ml入り)。 5.ビンテージ・アルコール度数の記載がないこと。 1.某氏によればこのワインは20年以上前から秘蔵の倉庫に保管されていて、ワイン好きの私に是非飲ませたいとの非常にありがたいご好意により今回の運びとなった。某氏は酒に精通している大先輩でありこの場を借りて感謝の意を表したい。 2.私は日本のワインについては見識も経験もなくサドヤという醸造所は名前こそ知れどんなワインを造るのか知らない。世界の名酒事典97(講談社)によれば、日本のワイン、山梨の欄の一番に紹介されている。 3.Vin de DESSERTとの表記から当初、貴腐ワインかと思っていた。熟成した貴腐は白ワインにもかかわらず茶褐色に変わるという。デザートをそのまま受け入れるなら、やはり食事の最後に飲まれるべきだろう。 4.この瓶はワインらしくない。マッカランやボウモアが入っていてもおかしくないところがなんともおかしい。不思議である。 5.このエチケットにはビンテージの表記がない。つまり複数の年号をブレンドして造られているのだろうか。アルコール度数も葡萄品種も不明なため、ますます得体が分からない。ここは飲むに限るだろう。 <味の印象> コルクも十分湿っていて、別のお酒で相当酔っていたせいか抜栓に失敗。コルクの半分をビンに落としてしまった。反省である。味わいは瓶熟のビンテージポートと樽熟させたポート(レイトボトル)の中間のよう。茶褐色系統ではあるが、比較的色合いが明るく、澱も少ない。甘い口当たりにして、アルコール感もかなりある。食後に一杯、楽しめるワインである。 <後日談> ホームページで調べた結果、今回のワインは赤ワインにブランデーと砂糖を加えたいわゆる酒精強化酒(フォーティファイド・ワイン)であった。なるほどそう言われてみると、あの甘さは砂糖に起因し、あのアルコール感はブランデーによるものだったのか。道理で澱がないはずである。ブランデーを添加しているためにビンテージの表記もしていないのだろう。サドヤのホームページでは適正温度は14℃を謳っており、イチゴにかけて食べるとおいしいとある。正体が分かるとややがっかりでもあるが、あの場所であの瞬間に味わえた悦びは確かに自分の舌に残っている。今でこそこのワインは安く手に入るが、20年以上前にこのワインを買った人がいて、時と場所を変えて自分が楽しめたことに不思議な縁を感じる。感謝である。 <参考> ちなみに酒精強化酒はポート・マデラ・シェリー・マルサラなどが有名であるがフランスにもある。ヴァン・ドゥー・ナチュレルとヴァン・ド・リケールだ。今回の縁つながりで一度試してみたいものである。 ヴァン・ドゥー・ナチュレル(Vin doux Naturels) 主にラングドック・ルーション地方で造られていて。葡萄の発酵中にアルコールを添加して甘口に仕上げたもの ヴァン・ド・リケール(Vin de Liqueur) 発酵前の果汁にアルコールを添加してつくられた甘口ワイン。カルバドスにリンゴジュースを加えて熟成させたものがAOCポモー・ド・ノルマンディーである。 以上 |