ヴォグエ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2005年04月16日 | |||||||||||||||||||||||
<ボンヌ・マール> このワインは最近ご縁があって何本か試飲したりしていたが、今宵のボンヌ・マールは一味違った。何が違うかといえば、男性的で、力強くまだまだ果実味も健在なボンヌ・マールにあって、イチゴちゃん(イチゴではない)のニュアンスが数分に渡って展開されたからだ。三つのキーワード「ヴォグエ」「ボンヌ・マール」「1995」から推測して、甘いイチゴフレーバーの味わいは想定外で、えええっと妙な感激が私を襲うのだった。ヴォグエといえば、堅い酸と頑丈な骨格あるワインをイメージするし、ボンヌ・マールの特徴といえば、男性的でパワフル系ピノ・ノワールの代表格で長熟タイプの特級ワイン。そして1995年は、熟成のピークに登りつめようとし、今ようやくその堅い酸を開放し、飲み頃を向かえたビンテージ。その三つのキーワードには、「イチゴちゃん」はないのである。しかし、抜栓後INAOグラスに注ぎつつ、しばらく経ってから半分以上残っているワインをロブマイヤーNo.3ブルゴーニュグラスへたっぷり目に注いだ時に、「イチゴちゃん」は顔をのぞかせた。ボンヌ・マールにして、なぜかハッピーワイン。すごいかもしれないと思う。 イチゴちゃんは、それでも僅かな時間しか表面に出てこず、厚めに切った鰹節、オレンジピールやジャム系の黒系果実、紅茶、なめし皮などの陰に隠れてしまったのだった。不思議な体験だった。 いずれにしても1995のボンヌ・マールは、見事な酒質に支えられ、限りなく球体に近づこうとしている様が美しく、ややもすると果実味が抜け落ちたワインが多い中、特級の存在感を見せ付けてくれたのだった。久しぶりに特級ワインをごくごく飲んで、熟成感を伴った美しいルビー色がいつまでも脳裏に焼きつくのだった。感謝である。 以上 |