ユベール・リニエ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2005年04月27日 | |||||||||||||||||||||||
<総括> 抜栓後私だけすぐにINAOグラスへ。ユベール・リニエの2002年は大変すばらしいワインであり、すでに飲み頃を迎えているといってもよさげな味わいで、今後数年単位で熟成するであろうポテンシャルを秘めながら、今まさにおいしいワインであった。ところで、ユベール・リニエのワインは大きくは3つのカテゴリーに分けられると思われる。それは、一級以上のワイン、村名ワイン、地方名ワインの3つのカテゴリーで、それぞれに圧倒的なポテンシャルの違いがあり、特に一級と村名の間には、安易には飛び越えられない深くて長い川の存在を確認せざるを得ないだろう。ユベール・リニエのワインは高値で取引されているので、どうせ買うならACブルゴーニュより村名を、もっと余裕があるのなら、一級以上を無理してでも買ったほうが、結局はコストパフォーマンスはよさそうな印象を持ったりした。そう、リニエのワインはAOC制度に忠実なため、消費者にとっては比較的わかりやすい造り手に入ると思われる。 それぞれの感想を確認するならば、特級クロ・ド・ラ・ロッシュの華やかさとエキスの充実は、ブルゴーニュの美の象徴的でもあり、極めてエレガントである。やや新樽香が気になるものの、あと数年熟成させることができるなら、泣けるワインの代表格になりえそうな予感である。時間と共に大きく開花する様は圧巻で、この特級を味わうためには、3時間くらいのゆったりしたと時間を必要とすると思われる。そして、モレ・サン・ドニ1級の古木も大変すばらしく、ミネラルが豊かで、繊細な中にも力強さをを持ち合わせ、グリップ感の充実と共に心を鷲掴みにするパワーを持っていた。余韻も村名格とは比較できないほど長く、村名にあと数千円足せば手に入る価格をして、無理にこちらを選ばせようとする潜在的なパワーを無視できなかったりもする。 そして意外というか、畑の位置を確認すれば当然のことながら、同じ村名でもモレ・サン・ドニとジュブレ・シャンベルタンの違いも興味をそそられた。この違いは、モレ・サン・ドニは国道74号線の西側の斜面に位置し、ジュブレ・シャンベルタンはモレ・サン・ドニとの村境に近く、しかし国道74号線の東側の平地に位置しているためと推測される。両者は比べなければ、ほとんど同等の味わいながら、比較試飲すると、モレ・サン・ドニのポテンシャルの高さに納得せざるを得ず、ジュブレ・シャンベルタンが場所柄の影響を受け、村名の最下層的で、やや雑味があり緊張感に欠ける味わいを持ち、ACブルゴーニュの最上級的な味わいに地団駄を踏んでいる様が興味をそそるのだった。もしモレとジュブレで買うのを迷ったら、間違いなくモレを買うべきであるが、それは両者を飲み比べてこそわかり得る類のものなので、それほど神経質になるのもどうかと思ったりする。 そしてパストゥグランは・・・、残念ながらブショッてました。ブショネがパストゥグランでよかったと思いつつ、やはりブショネは痛いなあ・・・である。しかし、いずれしてもリニエの2002年は大変おいしく、自分の体調のよいときにいつでも楽しめそうなワインであるが、じっくりと熟成させるのも面白そうな予感を持ちつつ、そういえばもう手に入らないような気がして、なんともかんともだったりもする。 以上 |