ミクルスキ
試飲日 2001年3月28日
場 所    神奈川県内某所   
照 明 白熱灯
種 類 フランス ブルゴーニュ産AOCワイン
生産者 Domaine Francois Mikulski  (Meursault)
Vintage 1998
テーマ 話題のミクルスキ登場。水平テイスティング。
ワイン Meursault
Meursault 1er Cru PORUZOTS
Meursault 1er Cru GENEVRIERES
 

<ムルソー1998>
 透明感のある金色。きれいなハニー香が鼻腔をくすぐってくる。このムルソーは味わいが濃い。太陽を燦々と浴びて育ったかのような印象を受ける。飲み応えは十分。舌の上で転がせば、あたかも水分が表面張力によって球になっていくような不思議な感覚。燻し香は感じられなかったが、良きムルソーを彷彿とさせる。この白ワイン、5000円でお釣が来ると思えば、なるほどコストパフォーマンスに長けた良質の白ワインである。ただ一歩間違えると新世界のシャルドネを予感させる味がしないでもないのが、やや残念でもある。ムルソーと思えば大変お得な感じがするし、ニューワールドと思い違えてしまうと少し割高かなと思わざるを得ない。なんだか誉めてないような気がしないでもないが、その理由はあとの二本との差を知ってしまったからだろう。


<ムルソー・ポリュゾ1998>
 色調は村名とほぼ同じであるが、この村最大の特徴であるバター香が現れるところは、やはり一級畑の実力を思い知る。大変おいしいワインである。白い果実味にあふれ、滑らかな感触には頬も緩み、とても豊かな印象である。酸味もしっかりしていて非常にバランスのいいワイン。今がまさに飲み頃のワイン。ただしいて言えばやや小さくまとまり過ぎているかもしれない。6500円(税込)という価格通りの味わいは、飲めば納得である。まさに価格と味わいが一致している。後半の伸びも非常によい。ムルソーが飲みたい夜に是非一本とっておきたいワインである。畑はグットドールとジュヌブリエールに挟まれている。


<ムルソー・ジュヌブリエール1998>
 完璧である。ロバート・パーカーにして、ホームランをかっ飛ばしたワインがこのジュヌブリエール1995であり、1998を試飲してその言わんとするところが理解できた。感激である。とにかくこの燻したへーゼルナッツ香は豊かである。味わいにもそれが感じられ、芳醇で力強いワイン。どっしりとした重量感がうまみ成分と相まって、唾が溢れ出す。ムルソーというよりは、極上のピュリニー・モンラシェを思わせる。熟した果実味に奥に秘めた酸が奥行きを演出し、今飲んで良し、10年待って良しだろう。長熟白ワインの代表格的存在。これがミクルスキなんだ。感謝である。
 ワイナート誌ではベスト・オブ・ムルソーの第二位にランクインしているが、なるほどその実力は確かである。このワインが6500円とは値段を聞いて驚きも増す。その2倍の価格でも安いと感じること間違いなしだ。もし余裕があれば何本か購入して、時の経過と共に味わいの変遷を楽しみたいワインである。


<ミクルスキ>
 ブルゴーニュで人気急上昇中のドメーヌ。1992年が初ビンテージ。ワイナート誌でも紹介され巷で何かと話題にのぼっている。新興にしていい畑を持ちえたのは相続の賜物だが、その実力は三ッ星レストランの必須アイテムになりつつある。いまでこそ値ごろ感があるが、知名度が上がれば間違いなく高値で取引されてしまうのだろう。今のうちに買っておきたいところだが、諸般の都合により買い集める財力がないのは、いかんともしがたい。次に会える日をただ待つのみである。
 ムルソーにはこの星を代表するコシュ・デュリとコント・ラフォンの二大巨匠が君臨している。今回のミクルスキのワインは大変おいしく、特にジュヌブリエールは感激の極みであるが、残念ながら両巨匠には遠く及ばなかった。しかし彼らの後ろ姿はしっかりと視界に入れている。彼らに追いつくのもそう遠くはないはずだ。逆にいえば、ミクルスキでこれほどの感激をしてもなお、コシュ・デュリとコント・ラフォンの偉大さを思い知る時、途方もない彼らの実力と所有する畑のすばらしさに改めて驚愕するのだった。

以上


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