ベルナール・デュガ・ピィ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2005年06月19日 | |||||||||||||||||||||||
<ポマール ラ・ルヴリエール> 抜栓後すぐにINAOグラスへ。ムラサキ色を配する濃いルビー色合いで、ピノ・ノワールもここまで濃くなるかというくらいのレベルである。香は、力強さがあり、ブラックベリーやカシス、スミレ、バニラなどが元気よく香ってくる。口に含めば、香同様迫力のある力強い味わいで、甘みを感じつつ男性的でグーで殴りかかってくるかのような、タニックで豊かな味わいは、サプライズも伴い強烈な存在感を示してくる。ビンテージを反映して、酸はそれほど感じないが、余韻は長めで悪くなく、うまみも乗って、今飲んでとてもおいしいワインになっている。時間と共にカカオチックなところも出てくるが、総じて単調で、やや複雑味に欠けるきらいがあり、ファーストインプレッションはすばらしいものの、どこか新大陸チックで、ブルゴーニュの繊細さとは少し微妙な感じである。 このワインを例えるならば、巨大ないったんもめん系モンスターという感じで、正面から真っ向勝負を挑めば、巨大なパワーに圧倒されるが、一歩横から姿を見つめれば、意外なほどに奥行き感はなく、平べったい印象は拭えなかったりもする。しかし、余韻に通じる尾っぽは長くくっついてくるので、尻尾のついた足のない不思議ないったんもめんという感じで、なかなか面白いワインかもしれない。 ジュブレ・シャンベルタンに通じる男性的で骨格のしっかりしたポマールの代表的な味わいといえば言えなくもなく、個人的には樽から飲んだコント・アルマンのポマール1級クロ・デ・ゼプノーの味わいにも似て、甘口系に振れた辛口赤ワインのハイインパクトな味わいに、素直な喜びも隠さなかったりする。そしてどうしても酸の不足と、残糖感は否めないが、ぺたぺたするほどでもないので、そう悲観的になることもなさそうである。 デュガ・ピィのポマールの初ビンテージ。もう飲んでしまったが、早飲みタイプの予感が漂いつつ、今宵飲めたことに感謝なのである。個人的には今年の冬あたりが、一番おいしそうな気配である。しかし、どうしてもハイインパクトなワインは、何度も飲みたくなるというより経験値を積めればそれで良い系に陥りがちで、しかも平地の村名畑で2万円近い価格を考えると、むむむっと思わざるを得ないかもしれない。 一度は飲みたいが、二度目のチャンスは・・・、そんな感じである。 おしまい |