ジェラール・シュレール | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2005年09月06日など | |||||||||||||||||||||||
<アルザス ピノ・ノワール キュベ・パルティキュリエール> 抜栓後すぐにリーデル・ワインシリーズ・シャルドネグラスへ。やや渇変系のオレンジ色で、とても薄い色合い。グラスの向こうに掌を当てれば、はっきりと識別でき、特にエッジの部分には色素がなく、指の指紋すら確認できるほど。香は、スパイス香に優先して出がらし紅茶系のニュアンスが漂い、口に含めば、茎っぽさが好みを分けそうな香立ち。時間と共に砂糖を焼いたニュアンスも出て、二度注ぎするとややマスキングされたセメダイン香も出てくるのが、少し残念だったりもする。香は、やや個性的で、これが苦手な人も多いかと想像できたりする。 味わいは、これまたまた薄く、果実の枯れ具合が印象的で、まさに出がらし紅茶をカツオ出汁で割ったかのような、微妙なうまみが漂っている。うまい。これはかなりうまいが、ワインから想像される果実味はなく、うっすらとほんのりのった薄口味のため、これが万人受けするとは思えないが、この味わいは個人的にまさに好みの絶頂だったりする。薄い果実味に比べ、大地のミネラル感はたっぷりとあり、このミネラル感が最近のブルゴーニュには少ないんだよなあと嘆きつつ、ゴクゴクと飲む。このワインは、舌の先で味覚の細部を探すより、ゴクゴクとたっぷり飲んでこそ、うまみとミネラルを楽しめるから不思議である。色がないのに余韻が長い・・・。 このワインは、品種は違うし、その哲学も違うが、機山洋酒工業の2003カベルネソービニョン/メルロー(セレクトシリーズにならなかったキュベ)のあの薄いお味に似ている。薄い色合いに、茎っぽさの香立ち、そしてたっぷりのうまみ成分・・・同じニュアンスだ。 パンチのある濃いワインが好きな人には、到底理解されない薄口うまくちの世界観。ワインが食卓の華をとるのではなく、食事のよきサポート役に徹するワイン。そんな印象をワインに、見つけると、ほんのりうれしかったりもする。 おしまい |