ベルナール・デュガ・ピィ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2005年10月01日 | |||||||||||||||||||||||
<ヴォーヌ・ロマネ VV> 抜栓後ブショネチェックのあと、デカンタをして1時間半ほど待ち、ロブマイヤー・バレリーナ・ワインVに注ぐ。色合いは非常に濃いムラサキ含みのルビー色で、この系統のピノ・ノワールに若干遠ざかりつつ、それでもデュガ・ピィらしい色合いにほっとしたりもする。香はベリー系の果実香が勢いよく香り、華の香も鮮やかに、スミレやバラ、黒胡椒なども力強くグラスの中に存在している。口に含めば、意外に飲みやすく、がっちりとしたタンニンとやや甘めなテイストに2003年ビンテージの個性をうかがい知ることができ、やはり酸のバランスがいまひとつかなあと思いつつ、ここはじっくりと時間をかけて楽しむことに。 時間と共にロブマイヤーの力を借りてか、躍動する果実実からシックな装いへと変貌し、アジア系のスパイス工が複雑に、そして妖艶に香りだしてくるから、凄いのである。スパイスは、ややカレー系に寄っているが、このなんともいえない漂う感じは、この村の特徴を現し、某氏曰くの「リッシュブールの香に似てますね」の感想が的を射たりするから面白い。うまみは穏やかで、余韻は長く、2003年にしていい感じの飲み頃具合が面白い。 ただ欲を言えば、終始一貫して味わいに平板さを感じざるを得ず、例えば、これはイメージではあるが、ワインの厚みにおいて、他のビンテージなら5cm位の厚みを感じるデュガ・ピィにして、2003年は2cmほどの構造しかもっておらず、それは酷暑ゆえの爆発する果実味に抑えられてのことかと思いつつ、根本的な酸の不足からくるボディ感ではないかと思うと、妙に納得するところが痛し痒しである。 しかし、ヴォーヌ・ロマネのミネラルと艶やかさは、ピノ・ノワールのひとつの成功を意識させ、酷暑にして困難なビンテージを、ここまで纏め上げてくる才能に脱帽なのである。(今回は試さなかったが、今回はワイングラスの選択がバッチシで、その恩恵がワインにいい要素をもたらしたものと推定され、ワインをおいしく飲むために何をすべきかを考えるのも、また楽しいからワインは飽きないのだろう) 飲み終えて思うことがある。 2003年は、もしかすると今が飲み頃なのではなかろうか、と。熟成させるより、今ならデカンタやグラスの力を借りて、思う存分楽しむほうが、熟成のリスクを考えると得策と思えてくるから不思議である。 おしまい |