ビゾー
試飲日 2006年01月16日
場 所    神奈川県某所
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方赤ワイン
生産者 Domaine Bizot (Vosne-Romanee)
Vintage 2002
テーマ 天麩羅屋さんにて
ワイン Vosne-Romanee VV

<ヴォーヌ・ロマネ VV>
 室温になじませつつ、抜栓後すぐにロブマイヤー・バレリーナ・ブルゴーニュグラスへ。本来ならば、デカンタージュをしたいところだったが、あいにく出先、というか天麩羅屋さんだったので、それはかなわず、そのままグラスに注ぐしかなかった。そして致命的な出来事が、もうひとつ。このワインのためのグラスは、過去数回の経験により、ブルゴーニュグラスではなく、同じくロブマイヤー社のバレリーナシリーズのグラスVであるべきだったが、自宅から持ってくるときに間違えてしまい、(同じ箱に入れていたので・・・)、取りに戻る暇もないので、このグラスで代用せざるを得なかったのだ。

 色合いは、いい感じのルビー色だったが、香は予想通りまったく閉じていて、何かに封印されているようなニュアンスが厳しかった。そんな閉塞感を打破すべく、デカンタをしたい欲求に駆られたが、デカンタを持っておらず、仕方がないので、普段はまったくといっていいほどしない、グラスをくるりと回す手法をとってみた。グラス内でデカンタと同じ効果を期待したかったからだ。しかし・・・。

 駄目だった。

 やはりグラスを巷のワイン通よろしく、ぐるぐる回してみたのだが、香が立つどころか、かえって味わいが平板になり、うーん、微妙な展開になってきたと思いつつ、話題をおいしいてんぷらへと変えたりしたのだった。グラスを回すと、繊細さが失われ、酸がたち、味わいの侘び寂びモードが消滅してしまったのだ・・・。

 昨年何度も、グラスVを用いることによって感動モードに達したビゾーのヴォーヌ・ロマネVVだったが、今宵ばかりは飲み方を変えざるを得ず、しかもグラスの形状も微妙に異なることから本来のおいしさを表現しきれず、消化不良のまま飲み終えてしまった。まったくもって残念だった。

 まあ、こんなこともあるかと思いつつ、今までのやり方(グラス選定やデカンタージュの必要性、グラスを回さないことなど)の自分なりの正しさを、違う方法をとることによって、おいしくなかったという悲しい現実に直面しつつ、確認してしまったのだった。

 失敗は成功の元。

 今回の経験を踏まえて、次にあけるビゾーは、ビゾー史上において、過去最高の味わいを目指せそうである。つくづくワインは、現場の楽しみ方次第ということを痛感しつつ、現場で嘘はつけないことも感じたのだった。


おしまい

 


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