クロード・デュガ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2006年04月23日など | |||||||||||||||||||||||
<ブルゴーニュ ルージュ 2003の特例> クロード・デュガによれば、2003年ビンテージに限り、ドメーヌ・クロード・デュガのACブルゴーニュ・ルージュにはふたつのキュベが存在する。ひとつはノーマルなキュベで、ACブルゴーニュの区画から造られたワイン。もうひとつは、酷暑の2003年を受け、収穫高が激減したために、普段は使用しない二番果をデュガが所有する全ての畑から収穫し、醸造したワインである。後者には、特級グリオット・シャンベルタン、特級シャルム・シャンベルタン、一級ラボーサンジッャクも当然に含まれ、全てをブレンドしたことで、法律に則り、ACブルゴーニュになってしまった逸品である。そしてこの両キュベは、その違いを表示することはなく、全く同じラベルにてリリースされ、そのワインがどちらのキュベであるかは公表されることがないという。 すでにデュガの2003ブルゴーニュは各所(蔵も含む)で体験し、そして明らかに輸入会社によって味わいが異なることを体感しつつ、今回、その二社の正規代理店扱いのワインを同一場所、同一条件にて抜栓し、その違いを検証しようという試みを企画してみた。 グラスは、INAOグラス(私用)と、ロブマイヤー・バレリーナ・グラスVを用い、室温に馴染ませてから、ブショネチェック後デカンタージュして5分程度落ち着かせてから、それぞれのグラスに注いでみた。 A社扱いのワインは、某女史いわくの「この表現はその一言で全ての印象を網羅してしまうために用いたくないけど、チャーミングな味わい」が特徴的で、熟した果実の実を容易に連想させる濃い味わいは華やかさを伴っている。うまみ成分も充実し、抜栓直後は愛想がないが、うまいこと飲もうとすれば、今このタイミングで飲んで、とてもおいしく、いい感じである。 B社扱いのワインは、同じ色合いにして、果実味にやや未熟感を持ち、酸の多さを感じさせる。硬く閉じた味わいは、グラスの中で後半になって開花するほどで、媚びない果実味と共に、うまみ成分の多さに目を見張り、そしてそれは余韻の長さに強く被ってくる。何か言い知れぬ、そこはかとないポテンシャルを感じ、10数年後にすごいことになっているかもしれないと思うにつけ、特級グリオット・シャンベルタンの斜面が脳裏をよぎるのだった。 AとBはボトルコンディションの違いを超えた、異質の個性を発揮し、それはデュガらしく、共においしいということで共通しつつも、別のワインであることを感じざるを得ない。 デュガが意図してA社とB社のキュベを分けたのか、それとも偶然なのか、それとも各社のロットごとに両キュベが混入しているのかはわからない。しかし現実には、某酒販店で購入したAと違う某酒販店で購入したBとで、これほどまでに味わいが違うことに、ちょっとした感慨を持ったりする。 今楽しむならAを、今または数年後までを視野に入れるならBの購入をおすすめしたいと思いつつ、このテーマは個人的に相当お気に入りなので、今後のセミナーの裏テーマとして活躍しそうだったりする(笑) デュガの二つのキュベは日本で入手ができる。これは知的好奇心を微妙にくすぐってくれたりする・・・。 おしまい | |||||||||||||||||||||||