コント・アルマン | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2006年08月06日 | |||||||||||||||||||||||
<ポマール1級クロ・デ・ゼプノー モノポール> 抜栓して、INAOグラスでブショネチェックをして、小二時間ほどしてからロブマイヤー・バレリーナ・グラスVへ。色合いはまだまだ紫色が健在な黒いルビー色で、しかしエッジに少しばかり熟成を感じる色合い。香りは黒系果実をメインに、スパイス香が交じり合い、新樽に由縁するバニラ香はうっすらと感じられる程度で、全開放というのではなく、全体的にパワーを秘めたニュアンスが面白い。口に含めば、そのドライな味わいは、構造力に長け、幾分コート・ド・ボーヌらしい鉄分や血なまぐささも感じつつ、どっしりとした重厚な味わいが好印象。うまみも載って、余韻も長く、これは早くから大いに楽しめるポマールの味わいに他ならない。ビオディナミで育てられた葡萄のポテンシャルの高さを感じつつ、それはワインとしてとてもおいしく、その重厚さが、ポマール好きにはたまらない逸品だろう。 で、このワインに合わせたお料理は、ブラッスリーHxMの菊池シェフ渾身の子羊の鞍下肉(le selle d'agneau)にアサリを詰めて、モロヘイヤのソース。このマリアージュは、近年稀に見るほど印象的な出会いとなり、両者の個性が飛び出るすごさは、圧巻の領域に達していた。子羊とあさりとポマールは、同時に口の中で融合すると、グルタミン酸とイノシン酸の調和によってもたらされるうまみ成分以上のパワーが発揮され、両者が互いに爆発するかのごとく強烈な「うまみ」を発してきたのだ。ポマールの重厚さを子羊の肉質が饒舌に語りかけ、あさりの鉄っぽさとポマールの鉄分がリアルに反応し、モロヘイヤのソースがポマールのタンニンに協調してくるから、思わず喚起を声を挙げては、笑ってしまうのだ。 料理とワインは食卓の両輪にたとえられ、両者が融合すると、1+1=3の世界が展開されるが、ごく稀ながら、それが見事に融合すると、1+1=100000ほどの強烈なうまみが発するときがある。今回の組み合わせがまさにそれに該当し、それは、飲み手の心を強烈に刺激するから面白い。 ポマールと菊池シェフのお料理(子羊+あさり+モロヘーヤ) この偉大な組み合わせに、拍手喝さい、大喝采なのだ。 おしまい | |||||||||||||||||||||||