フランソワ・ラヴノー | ||||||||||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年5月26日 | ||||||||||||||||||||||||||||||
<味わい> 優しい金色。アロマが豊かで、飲む前から極上の一杯を予感させる。口に含めばクリーミーなのに引き締まった味わい。とろみもあり、飲むごとに唾が溢れ出す。奥深い複雑さがあり、大変おいしい。しっかりした酸はキレを良くし、シャープな印象を飲み手に伝えてくる。これぞシャブリが到達し得る頂点なのだろう。感激である。 今回のシャブリは1級畑であるが、並みの造り手の特級をはるか彼方に吹き飛ばす力強さがある。値段も普通のシャブリ特級が二本くらい買えそうなので、なんとも言いづらいが、値段通りの味わいは約束してくれる。コート・ド・ボーヌの特級と比肩し得る実力は、脱帽に値するところである。事実、直後に飲んだルイラトゥールの1997コルトン・シャルルマーニュのおいしさにも負けない存在感と余韻が合った。おいしい。素直においしいシャブリは本当に幸せである。 ただ少し気になったのは、グラスに残った香である。パンのような香を感じたのだが、これはグラスのせいかな。共に悦びを共有した友からはそんなパンの香の話は出なかったので、気のせいかもしれないが・・・。 <フランソワ・ラヴノー> シャブリには3000を越すワイン生産者がいるというが、ラヴノーこそがその頂点に君臨する。この事実は世界の常識になっているが、実際に飲んでみればその実力を思い知るだろう。シャブリを語るならラヴノーは無視できないし、ラヴノーが出てこないシャブリネタは結構つまらなかったりする。看板ワインは特級レクロとブランショ。ラヴノーの銘醸は日本で見かけることは少ないが、探せば、あるところにはあるから不思議である。今回の一級モンテ・ドゥ・トネールとの出会いも奇跡に近い。まさに感謝である。 ラヴノーを飲むとシャブリ第二位のルネ・ヴァンサン・ドーヴィサでさえ霞んでしまう。しかし同じブルゴーニュにはコート・ド・ボーヌという大名醸地があり、このシャブリのトップ・ドメーヌははブルゴーニュ全体を見回すと順位を相当下げてしまう現実が厳しい。トップ20の末席あたりだろうか。そこにシャブリの限界を感じたりもする。モンラシェやコルトン・シャルルマーニュと比較されることはないが、特級畑を持つという事実はかなり重要だ。シャブリはある程度ワインを飲んでくると、低く見られがちだが、どっこいどうして。ラヴノーのシャブリはそんな偏見を吹き飛ばすパワーを飲み手に伝えてくれる。偉大な造り手とおいしいワインに感謝である。 以上 |