ルネ・アンジェル | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年6月24日・26日 | |||||||||||||||||||||||
<特級エシェゾー> 抜栓10分の場合 黒系に紫が入り込んだような濃いルビー色。花の香りが鮮やかで、とても華やかなワインである。茎を思わせる渋みと紫色はいかにも低温浸漬系のピノノワールである。甘い果実味はうれしいが、ややバランスに欠けているように思われる。タンニンが角張った印象を与え、やはり最後まで感じさせる茎の渋さが、おいしいけれど何か物足りないと思わざるを得ない。よくできたいいワインには違いないが、官能には遠く及ばなかった。初めてのルネ・アンジェルとの出会いは、以外に寂しいものがあったりした。 翌々日。抜栓小一時間、ボトルに一杯だけ残ってた場合。 いやいやどうして。すごくパワフルなワインに変貌している。甘く複雑なアロマがINAOグラスから溢れんばかりに、もわんもわんしている。パワフルである。一転して歯茎に染み込む渋みも心地よい。丸くとてもバランスがよくなっている。これだからワインは難しい。しかしうれしい。開け方の微妙な違いがワインの根本を変えてしまうのだから。 思わず背中がのけぞり、官能的な酔い心地がなんとも素敵な夜を演出してくれている。つくづくこのパワフルさはすばらしい。感激である。 <特級クロ・ヴージョ> 花っぽい甘いアロマがむんむんしている。紫色を配した茶系のルビー色。大変おいしいワインだ。このクロ・ヴージョもまた、エシェゾーと同じような飲み方をしたが(抜栓10分とボトルに一杯分)、エシェゾーほどには飲み方の違いによる味わいの差はなかった。それでも時間を置いたほうが、より甘さを感じ、より力強くなっていたのはエシェゾーに共通する。二回目のエシェゾーを試飲した直後でさえ、この特級は力強い存在感を持っている。やはりこれがACの特徴の差なのだろう。価格も若干ヴージョのほうが高く、なるほど市場は正直だと実感させられるワインでもある。 <特級グラン・ゼシェゾー> デカンタで10分で試飲。前作二本に格の違いを見せ付けるに十分な味わい。無茶苦茶にうまい。甘い花の香りは前作に共通するが、加えて黒糖を感じ、その甘さがまったくしつこくない。濃くって強いワインにして大変おいしい。グラスを伝う「涙」のとろみがすばらしく、いつまでもグラスにその痕跡を残している。うまみ成分の塊をワインにしたような味わいは、ロブマイヤーグラスでいただくと、さらに複雑さが増し、つくづく官能の世界に引き込まれる。大感激の一本である。長熟タイプであり、今から楽しめる貴重な一品。価格もこのクラスにしては割安感があり、何本か纏め買いができなくもない価格設定は、今のうちに買いだめしたい。いや、何本も買うとやはり辛いので、みんなで何本か購入して、会うたびに一本ずつ飲んでみたいワインである。 <ルネ・アンジェル> ヴォーヌ・ロマネ村に本拠地を構える。パーカーの評価は4つ星(最高点は5つ星)である。上記3点が看板ワイン。地味なエチケットのためか存在自体も目立たないが、今後も注目したいドメーヌのひとつである。 以上 |