はじめに
 
 私はお酒が好きである
。昼間は肩肘張って生きてても、一度酒が入ればほんの少しだけ気を許したり、気を大きくできたりする。酒は時には気をもんだり、気を紛らわしたり、気取ったりもする。みんな頬を赤らめ、少し本音で語り合えたりする。酒は楽しくもあり、辛くもある。悲しい酒もある。
 みんなでわいわい飲む酒・家族と飲む酒・冠婚葬祭で飲む酒・二人で飲む酒・昔の友と飲む酒・仕事で飲む酒・ひとりで飲む酒・風呂上りに飲む酒・泣きたい夜に飲む酒・・・飲まずにいられない夜もある。そんな飲む状況に応じて酒を選びたい。どうせ飲むなら、うまい酒を飲みたくなるのはノンべいの常だ。そしてうれしいことに、うまい酒は世界中にある。この星に生まれた喜びのひとつである。

 とっておきの夜にはワインが最高だ。ワインは上品で、優雅で、官能で、豊かである。ワインは食事と共に飲まれる事が多い。食事と一緒に飲むため、その味わいが料理に影響を及ぼすことになる。原材料は葡萄のみ。しかしワインは葡萄の種類や場所、造り方によって大きく味を変えるため、いつ何処で誰と何を食べるかによって、ワインも変える必要がでてくる。その時々に応じて、ベストのワインを選びたい。料理とワインがベストマッチしたとき、その食卓はとても素敵である。
 しかしワインは難しい。星の数ほどワインはある。毎年味も変わる。どのタイミングで何を選べばいいか難しい。そのためにソムリエがいる。しかし、ソムリエがサービスしてくれるレストランは予算の関係でそんなに行けない。家庭で楽しもうとしてもソムリエはいない。そんなジレンマは自分で解決するしかない。必然的に本や雑誌を読みあさり、店頭に足を運ぶことになる。

 昨今のワインブームでワインコーナーは充実している。カラフルな雑誌も増えてきた。しかしワインを知るにつれ、自分のレベルに見合う本をなかなか見つけにくくなってきたのも現実である。たまに「これだ」と思っても、大抵は海外の訳本が多く、情報も古くなりがちだ。外国人の味覚は日本人のそれとは若干相違していることを経験的に知る者として、海外の訳本に頼るのも限界もある。日本人としてうまいワインを見つけたい。そして飲みたい。インターネットでもワイン情報は溢れているが、通信販売系サイトが多く、求めている内容には巡り合えずにいる。

 ワイン通がよく口にする言葉。それは「行き着く先はブルゴーニュ」である。ボルドーも世界最高峰には違いないが、知名度の高さと格付け制度や単独所有などにより、ほとんど評価は定まっている。値段の差が品質の差であり、ビンテージの差が価格の差である。ボルドー情報はたやすく入手できる。
 しかし、ブルゴーニュは難しい。同一銘柄に複数の生産者があり、その実力はピンからキリまで多様である。単一葡萄品種の影響もありビンテージの良し悪しにも左右されやすい。生産量もボルドーとは桁が二つ違うほど少ないので入手も困難だ。味わいも繊細で、樽の差、グラスの差も感じざるを得ないし、時間と共にその趣も変えてしまう。ここが行き着く先といわれる所以だろう。ただブルゴーニュはうまい。ほんとうにおいしい。このおいしさを知ってしまった以上、そんなやっかいな情報探しも魅力のひとつとなる。

 ワインは高いかもしれない。同じ予算でビールならケース買いができる。しかし二人分の映画代でおいしいブルゴーニュも堪能できる。一泊分の宿代で極上のワインも味わえる。車の車検代より世界一の白ワインは安かったりする。要はお金の使い方。私は最高の夜には最高のお酒を飲みたい。

 私は世界最高峰のワインを知りたい。そして飲んでみたい。世界中の飲み手を虜にするのはなぜなんだ。たかが一杯の酒が、これほど人々を魅了するのはなぜだろう。答えはわかっている。うまいからだ。しかし、どううまいんだ。そんな欲望を満たす情報は少ない。なければ自分で飲むしかない。自分で書くしかない。飲めば納得できるはずだ。そして自分の経験が、いつかの夜に役立つことを願うばかりである。そんな夜にはまだ少し時間がかかりそうなので、その前に少しだけホームページに紹介して、誰かの素敵な夜に一役かえれば幸いである。


 さあ、生産者ごとに並んだページをクリックしてみてください。
 うまいワインが目白押しです


以上

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