先日、ロバート・パーカーのThe WINE ADVOCATEの140号が自宅に届いた。フムフムフムと読んでいたが、ブルゴーニュをこよなく愛する者とってこの号もまた退屈な内容だった。ブルゴーニュの記事がないからだ。ブルゴーニュのコメントはつぶさに見ようとするのに、他の産地だとあっという間に読み終わってしまう。せっかくお金を払っているのにもったいないなと思ってしまう。ブルゴーニュ特集のときだけ送ってもらうわけには行かないのだろうか。定期購読をやめて都内の書店に行くことを真剣に考えさせられたりする。ともかく、せっかく届けてくれたのだから少しは読んでみようと思う。
特集は北ローヌの1999と2000、ボルドーの1999と2001がメインに他の産地がちょこちょこ載っている。裏表紙を見ると母の死を痛む記事が載っていて、発売当時の苦労話も涙をそそる内容となっている。母の死は悲しいだろうと同情するが、何やら社報を見ているようでどうも馴染めない。有償の雑誌で個人的な記事を載せるのは文化の違いなのか、そもそもこの記事に抵抗を感じることも道徳に反する行為だろうか。なにやら不甲斐なさが残ったりするが、ともかくここは合掌である。
さて、北ローヌについて。相対的に高得点がつけられているが、なかにひとつだけ77点を獲得した造り手がいる。ここでは名前は紹介しないが、何がパーカーのお気に召さなかったのか俄然興味が沸く。彼自身もコメントの中でWhat
happenedと嘆いているところから、どんなに駄目なのか実際に飲んでみたい。興味津々だ。こういうワインは日本で入手できないものだろうか。100点満点のワインがセールの目玉になる以上に、77点のワインも集客力があるように思えるのは私だけだろうか。まずいと宣言されたワインに誰が金を出すかという問題もあり、ワインのプロだけが欲しがるワインかもしれない。話のネタに一本ほしいところだが、出来れば割り勘で、運がよければゴチになりたいワインの筆頭かもしれない。いやいやこういうときこそ率先して、自らの株も上げたくなるのでケースで買って奮発しようかな、とも思わなくもない。ともかくパーカーが100点をつける理由を自分の舌で確かめたいように、駄目を押したワインも飲んでみたいのが人の常。二つのワインを飲むことで、パーカーの評価に一つの基準が見つけられないだろうか。そのワインの発売が待ち望まれる。
ボルドーの2001は「AFTER THE GOLD RUSH」のタイトルのもと最新ビンテージのテイスティングレポートが並んでいる。まだ樽に入っている段階で評価してしまう力量も目を見張るが、ほとんどのワインに駄目を押している手前、相当の自信もうかがえる。96点以上のEXTRAORDINARY
POTENTIALを獲得したワインはゼロだ。1999もゼロなので、ボルドーワインを取り扱っているお店は苦労が絶えないだろうと思わなくもない。彼の点数に基づいてボルドーの価格が下がれば、消費者としてはうれしいが、いったいこの先ボルドーはどうなるのだろうか。「宴のあと」とはどういうことのか。グレートビンテージのボルドーは高くて手が出ないが、いまいちビンテージなら数本購入できる。水平テイスティングをしてシャトー毎の味わいの差を見つける旅にも出られるかもしれない。でも、あまり興味も沸かないので、まあよしとしようか。
ボルドーの点数も分かったところで、特に読むところがなくなった。2ヶ月後は何特集なのか気にかかりつつ、140号は役目を終えたのだった。そんなわけでこのコラムのオチも棚に預けてしまいましょう。
以上
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