ふたり所有畑  2002/10/17 2003/01/08追記
 ブルゴーニュからの問題。
 ブルゴーニュ地方はひとつの畑に複数の所有者がいる。単独所有の場合は単独所有畑(MONOPOLE = モノポール)として、ある意味価値が生まれるが、所有者が二人いると当然モノポールとは名乗れない。今回はそういった畑を集めてみよう。

格付 所有者
特級 クロ・デ・ランブレイ モレ・サン・ドニ ドメーヌ・デ・クロ・デ・ランブレイ ドメーヌ・トープノ・メルム
特級 コルトン・クロ・ド・ラ・ヴィーニュ・オ・サン アロース・コルトン ドメーヌ・ルイ・ラトゥール ドメーヌ・ジャン・クロード・ベラン
特級 シュバリエ・モンラッシェ・レ・ドモワゼル ピュリニ・モンラシェ ドメーヌ・ルイ・ラトゥール ドメーヌ・ルイ・ジャド
一級 ヴォーヌ・ロマネ クロパラントー ヴォーヌ・ロマネ ドメーヌ・メオ・カミュゼ エマニュエル・ルジェ
(註) ジュブレ・シャンベルタン1級ベレール(特級シャンベルタンの山側)もふたりしか所有者がいないという。ひとりは上記クロ・デ・ランブレイの所有者トープノ・メルム(2001・2000ともに良質)だが、もう一人が誰か確認できていないので、今回は補足での紹介に留めた(ワイナート参照)。


<クロ・デ・ランブレイ>
 1981年に特級に昇格した畑。畑の大部分はクロ・デ・ランブレイ社が所有し、平均的な生産量は35,000本。かたやトープノ・メルムはドメーヌに接する区画から1樽分=300本のみを生産。トープノ・メルムは個人的に親しくさせてもらっていて、ドメーヌを切り盛りする兄妹にはそれぞれ子供もいるので、当分安泰だ。トープノ・メルムのすばらしさは別途紹介したい。クロ・デ・ランブレイ社にもお世話になっていて、この場では紙面が足りないので詳細は割愛しよう。ただ紹介しただけでおわっとこ。


<コルトン・クロ・ド・ラ・ヴィーニュ・オ・サン>
 ルイ・ラトゥールは地元コルトンの丘に異なるコンセプトのコルトンを産出している(註1)。コルトンの丘は広大なため、小区画名を名乗ることが多く、コルトンの次ぎにハイフンでつないでそれぞれの小区画名を名乗ることが許されている。そのなかで単一区画の畑から造られるのがこれ。2.5haの畑のほとんどを所有しているが、サントネの異端児ジャン・クロード・ベランがその一部を所有しているために、ほとんどモノポールという表現で落ちついている。ベランはシャンベルタンとコルトン・シャルルマーニュとこの畑から特級ワインをリリースするという面白い立場にいるドメーヌだ。


<シュバリエ・モンラッシェ・レ・ドモワゼル>
 ルイ・ラトゥールとルイ・ジャドがほぼ半分ずつ所有する特級畑。この畑はシュバリエ・モンラッシェの飛び地にあり、いろいろ物議をかもしだしている。両者の飲み比べは常にブルゴーニュ好きの憧れであり、いつかは実現させてみたい組み合わせのひとつだろう。このドモワゼルは両社の看板ワインであり、白の最高峰である。シュバリエ・モンラッシェはヴォーヌ・ロマネのラ・ターシュ同様隣の区画を算入して面積が大きくなったりしているが、ここらへんの経緯はまた別の機会にでも・・・。


<ヴォーヌ・ロマネ 1級 クロ・パラントー>
 神の手を持つ男 アンリ・ジャはリッシュブールに隣接するこの畑から、かのロマネ・コンティと同様神秘の畑と称されるワインを造った。格は一級ながら、世界中のワイン愛好家の憧れの地である。メオ・カミュゼとの耕作契約が更新されず、アンリ・ジャイエは引退を余儀なくされ、現在ではメオ・カミュゼとジャイエの甥のエマニュエル・ルジェがリリースしている。


<おまけ>
 カズティエと同一斜面のジュブレ・シャンベルタン一級エトゥーネル・サン・ジャークには複数の所有者がいるが、このアペラシオンから単独でワインを造っているのはデュガの従姉妹アンベールとジャンテ・パンシオだけという(エマニュエル・アンベール氏談)。他の所有者は他の畑とブレンドしてジュブレ・シャンベルタン一級としてリリースするか、ルロワなどのネゴシアンに樽ごと売っているという(メゾン・ルロワにもこの畑のワインはラインナップされている)


<まとめ>
 今回はただ並べてみただけで、筆を置いておこう。


註1 ルイラトゥール社コルトン・シリーズ
コルトン・クロ・ド・ラ・ヴィーニュ・オー・サン 単一区画ラ・ヴィーニュ・オ・サンの石垣で囲んだ一角
コルトン・シャトー・コルトン・グランセ コルトンの丘に広がる古木のブレンド
コルトン・ドメーヌ・ラトゥール コルトン・グランセとは違うブレンド
コルトン・クロ・デュ・ロワ 単一区画ながらネゴシアンもの
コルトン・シャルルマーニュ 白ワイン最高峰の一角。コルトン・シャルルマーニュの標準的な意味合いも。


以上



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