ことワインに関して絶大な影響力を持つのが、ロバート・パーカーである。この事実は否定のしようはない。しかし最近日本でも
「PARKER'S WINE BUYER'S GUIDE Sixth Edition」 Robert M.Parker,Jr with Pierre-Antoine Rovani(全文英語)が発売されて、つらつら辞書を片手に読みふけっていると、なんとも居心地の悪い心境になった。もちろん読んでいるのはブルゴーニュのコーナーだが、腑に落ちない点がたくさん見受けられ、ちょっと紹介したくなった。ワイン業界に多大な影響を及ぼす氏の力作にはちがいないが、その存在感は日ごと衰えていくような気がしてならなかったりする。
疑問点その1 網羅していない生産者リスト
厚さ6cmにもなる分厚い著書は世界中のワイン産地の紹介をしていて、ブルゴーニュのページも相当数あるような錯覚に陥るが、実はリストアップされていない生産者も多い。ドメーヌ・ポンソ ドメーヌ・プリューレ・ロック ドミニク・ローラン ドメーヌ・A.F-グロ ドメーヌ・グロ・レール・エ・セール ドメーヌ・ミッシェル・グロ ドメーヌ・ポール・ペルノなどだ。このうちドミニク・ローランは前作第5版では掲載されていた造り手で、賛否両論あるものの無視はできない存在。ポンソは彼のワインに以前67?という酷評をしてからの険悪ムードは漏れ伝わってくる。未掲載は出入り禁止の噂に信憑性が増し、報復的な意味合いを浮き上がらせてくる。ブルゴーニュには数千人の造り手がいるというから、漏れがあっても致し方ないという説もあるが、影響力のある書だけに徹底してもらいたかったりもする。余談ながらフランスの評価本Le
CLASSEMENT2003では、ドミニク・ローランから評価用の2000年ビンテージのワインが送られなくとも、前年の1999年を参照してその造り手の紹介はしている。(コシュデュリからも送られてこなかったという)いずれにしても出入り禁止でもかまわないが、そのワインを買ってでも評価する意気込みが欲しかったりする。
疑問点その2 ☆☆☆☆☆(OUTSTANDING)の人々
パーカーは造り手を星の数で評価し、最高の造り手は5つ星で紹介している。しかし、そこに名を連ねるドメーヌにも営業的要素を見出してしまうのは、私だけだろうか。特に白ワインに関しては、自らが醸造・販売に関わっている造り手の評価が高い。そしてマコネ地区に重点を置きすぎる傾向も気にかかるところだ。
前作第5版と比べ、赤ワインでは5つ星を獲得したドメーヌの数は15と変わらないがメンバーは4ドメーヌほど入れ替わっている。白ワインでは前版の18から16に減り、3ドメーヌが新たにランクインしている。誰が落ちて誰が入ったかについては触れないが、私の印象とはだいぶ異なっている。
疑問点その3 省略?
前作では赤ワインと白ワインは分けて紹介され、個別のドメーヌについても特集を組んで説明文があったが、今回の第6版ではみんな一緒くたになって紹介されている。対象となるビンテージは1997から2000年までで、隔月発行の氏の雑誌を基に作られている。白ワインに関してはやはり1998は意図的にはずされているような気もするが、あえて掲載を見送っているところに評価があるといえなくもない。造り手ごとに見ても、評価するワインの数が意外に少なく、ブルゴーニュへの影響力は低下していると思わずにはいられなかったりする。
まとまらないので・・・
疑問点を挙げれば、どんどん出てくる。対象ビンテージからのブルゴーニュには100点満点はないし・・・。
しかしビンテージ情報など役立つ記事も沢山あるので、まあ参考程度に本棚に飾っておこうと思う次第だ。
この話、これ以上展開しても明るい話題にはなりそうにないので、いつものように強制終了しよう。
おしまい
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