ワイン内外価格差の崩壊  2003/07/02

 ユーロ高円安の状況が、フランスを旅する人や円建てでフランスに在住する人に大打撃を与えているが、今回はふらりと寄ったパリのワインショップの価格についてまとめてみよう。

 正直に言えば、今、パリのワインは安くないのだ。銘柄によっては東京で買うよりも高いものも見受けられたりする。これではせっかくのフランスに来て、お土産にワインを買おうと思っても、重い分だけ苦労も多く、夏場はワインの輸送に不向きなこともあって、実際には東京でひそかに買って皆に振舞った方がいい場合も多くなっている。

パリ某所でのワイン価格 ユーロ(税込み) 円建て
コシュ・デュリ 1999アリゴテ 28.7 4,018円
コシュ・デュリ 1999ブルゴーニュ白 64.0 8,960円
コシュ・デュリ 1999コルトン・シャルルマーニュ 1,295.0 181,300円
コントラフォン 1999モンラッシェ 900.0 126,000円
ブシャール   2000ラ・ロマネ 570.0 79,800円
ヴォグュエ   1999ミュジニ 343.9 48,140円
ヴォギュエ   1999ボンヌ・マール 260.0 36,400円
. . .
シャトー・ムートン・ロートシルト 2000 540.0 75,600円
シャトー・ラフィット・ロートシルト 2000 495.0 69,300円
シャトー・シュヴァル・ブラン    2000 550.0 77,000円
 フランスの税金は19.6% (免税手続きは、してくれる店としない店が存在する)
 為替レートは1ユーロ = 140円で計算

 ムートン以外の5大シャトーはみな495ユーロだった。

 上記の表にはあえて日本での価格は掲載しないが、この価格ではなかなか触手も動きにくいだろう。19.6%の税金分を免税してくれれば、実際にはこの価格から2割引にはなるが、それでも1ユーロ = 140円の現実も重くのしかかる。きびちいのである。

 ところで価格を抜きにして考えると(そんな時代になったのか・・・)、改めてフランスでのワイン購入のメリットが浮かんでくる。それは上記の表には載せていないが、古酒を中心とした日本ではまず入手不可能なワインが手に入る可能性が高いことと、ワインの輸送リスクを考えなくていいことだろう。フランス国内でのワイン輸送にはほぼ不安はなく、店で買ってからフランス国内で飲む分には輸送ダメージを考えなくていいメリットがある。とくに酸化防止剤未使用を謳っているワインなどはぜひ現地で飲んで、日本で飲むときとの違いを確かめるのも面白いかもしれない。ただし19.6%の納税は義務付けられるが・・・。日本に自ら運ぶ場合でも、夏場の酷暑時期と、冬場の氷点下の時期をはずせば、リスクは少なく、通関手続きのために成田に留め置き去れる間に常温放置されるという心配はがないので安心だ。それに何より自らが運んだのだから、輸送経路はバッチシ把握できるところもうれしい限りだ。ただ残念ながらワインは重い。一本当たりブルゴーニュワインは1.5kgちかくもあり、10本も買うと結構命がけの旅が始まるので、安くない上にきつい労働を考えると二の足を踏むのもやむを得なかったりもする。

 せっかくにフランスに着たのに、東京の方が安いフランスワイン。これには観光地価格やら大量流通の問題などが絡んでいると推測されるが、ワインを買わないで帰る寂しさを持ちつつ、ワインはスパッとあきらめて、お土産に岩塩やマスタードを選ぶのも賢い主婦の目を持っている証拠かもしれない。コストパフォーマンスがいい上に、味もバッチシなのだから。ただこちらも当然日本の高級スーパーで売っているという説もある。もちろんこれらの商品にはちゃんと内外価格差はあるが、単価が低いので、まあいいじゃないかというレベルかもしれないが・・・。

 そして内外価格差の崩壊を目の当たりにしつつも、ワインを巡る旅はいつまでも続くのだった・・・。

 
おしまい



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