自然派の逆襲 4  にしかたゆうじ
 自然派の逆襲シリーズの第四弾は、矛先を違う角度に向けての感想です。

 先日、某所でブルゴーニュ以外のワインを楽しむ機会に恵まれて、とてもいい経験をさせていただいた。飲んだワインは、フライング・ワイン・コンサルタントのアドバイスを受ける2000年のサンテミリオン・グラン・クリュの某銘柄と、いわゆるスーパータスカンと呼ばれるカベルネソービニョン85%・カベルネフラン15%のイタリアワイン、そしてオレゴン州のアルコール度数の高いピノ・ワールだった。

 最近は、逆襲に会いながらも自然派ワインに親しむ機会に恵まれ、自然派特有の優しい果実味のソフトタッチ路線に慣れてきたものにとって、上記三本は、非常に厳しいものがあった。超ハイ・インパクトな果実味パワーの樽香ビンビン系にして、アルコール感が凄いワイン。三本とも上顎が上がるインパクトを持ちつつ、アルコール特有の甘みを感じさせ、一口目のサプライズに馴染む暇もなく、二口目以降は(二杯目ではない)、飲み込むのがしんどくなり、その・・・いわゆる飽きてきてしまったのだ。この過剰な新樽香は、鼻をつまんで飲みたくなる、と某氏にこぼしたら、「気持ちはわかるが、ちょっとやばいぞ」と悟られもした・・・。

 これらのワインのアメリカ系ワイン評論家の点数による評価はかなり高得点と聞き、この手のワインに対する抵抗感が、これほどまでに助長されているとは思わなかった。飲みながら疲れるワイン・・・。濃くって強いパワフル・ワインは、どうも私の生理に合わなくなってきており、ハンバーガーを食べながら楽しむのにはよさそうだが、一日の疲れを自然派的な癒し系ワインで、という人には全く方向性が違いすぎ、これはこれで、ある意味自然派の逆襲なのではなかろうかと思ったりもした。

 歳をとったのかなあ。

 こってり系の肉料理を食べたいとは全く思わない体質になり、それらとの相性がよさげな上記のようなワインとは、ますます縁遠くなっていくのが手に取るようにわかってしまう。別に肉を嫌っているわけではなく、素材のうまみを引き出すお肉料理と共に、ごく自然の成り行きのように、自然派ワインを楽しみたいと思ってしまって久しい自分に気づいてしまったのかもしれない。

 自然派ワインの逆襲は、意味を変えつつ、私に体当たりしてきているような気がする・・・。


おしまい


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