先週は怒濤のワインセミナーということで、いろいろなワインに出会い、とても有意義な日々を過ごさせていただいた。素敵な人との出会いも多く、大感謝しつつ、いくつかを・・・。
1970 特級グラン・エシェゾー DRC 2005/09/18 in nonona
キャップシールの上に手を当てると、明らかにコルクが沈んでいることが確認できたのだが、入手経路の確かさを根拠に、このくらいは許容範囲かと思いつつ、保存切り(注)すると、なんと小指の第一関節ほど沈み込んでいて、過去最大の沈み具合。ああ。これはハズレ・ボトルか・・・。返金やむなしだなあと思いつつ、スクリューを当てるとあっという間に、スポッと中に落ちてしまった。このときの狼狽振りは、店主が心配するほどかなりのもので、私は翌日寝込んでしまったりした・・・。
気を取り直せるはずもないが、落ち着いてゆったりとグラスに注ぐと、決して悪くなく、ワイン自体は健全であった。コルクの上部についていた黒かびは、はじめの一杯目で取り除け、あとはロブマイヤーのブルゴーニュVに10杯ずつ均等注ぎをする。3週間前からボトルは立てていたので、澱は底部にこびりついていて、グラスに入ることはなかった。で、そのお味は・・・。先に飲んだロマネ・コンティ1970の深みのある味わいが再現され、私の狼狽は救われたのだった。時間と共に、深みを増す芳醇な香。なめし皮、干しイチヂク、梅がつお、追い鰹の美しいブーケがいつまでも漂い続け、それは優雅なひと時を楽しむことが出来たようだ。古酒は怖いが、この域に達するワインを楽しむことが出来ると、やはり早飲みは罪だと言われても否定はできず、でも個人的には若いビンテージのほうが好きだと思ったりする。
2000 ジュブレ・シャンベルタン1級 ドニ・モルテ 2005/09/18 in nonona
最近の大定番になったドニーのジュブレ1級は、まさに今が飲み頃で、熟成モードと果実味の健在を同時に楽しめる逸品。力強さはあまりなく、しかし甘酸っぱいピノ・ノワールの魅力を持ち、この一杯をもってブルゴーニュワインの魅力に取り付かれること必死の、ある意味不幸の始まり系のワイン。ややもすると下り坂に突入しているが、その微妙な加減が好みかも。
2003 リュリ・サン・ジャック白 フランソワ・ダレーヌ 2005/09/17 in ロウホウトイ
成城石井が輸入しているのに、そこでは購入できない不思議なワインは、いくつかあって、その中でもこのリュリの白は秀逸な味わい。リュリというマイナーな産地の本当は凄いポテンシャルと、2003年の酷暑にもかかわらず、甘ったるいボリューム感を避け、きっちりとバランスを確保しつつ、このミネラル感はすばらしい。最近流行のけばいシャルドネにヘキヘキしても、このシャルドネに出会えたら、きっとシャルドネにもどれる・・・。そんな予感に満ちた名品だ。ケース買いもナイスな選択かも。
2004 ミュスカデ・セーブル・エ・メーヌ ランドロン 2005/09/17 et 18 in ロウホウトイとnonona
アンフィボリット・ナチュールと明記(本当はフランス語)された逸品は、私のパリ滞在中の隠れたアイテムだったりするが、ようやく日本でも購入できた。このミュスカデは、ミネラルが豊富で、かなりうまい。個人的には、「遅刻気味の駆けつけ一杯目で何を飲んだら幸せか選手権」で、シャンパーニュを押さえ堂々の一位に輝いているが、どうでしょうか。海の香を思い出し、焼いただけの魚やサザエなどにもあいそうな、和食のお店のグラスワインにあったら最高な味わいに感激である。
2004 セレクト赤 イケダワイナリー 2005/09/22 in ninosa
2003年の終売により急きょリリースされたイケダのカベルネ・ソービニョンとメルロのブレンドワイン。個人的に2003年の強烈なうまみ成分に、日本の赤ワインの暁を覚えたが、この2004年には日本のワインのビンテージの違いの認識をまざまざと見せ付けられた思いもする。ボトルから飲むにはタンニンが目立ちすぎ、バランスの悪さが残念だが、デカンタをして2時間待てば、スパイシーな黒胡椒ととともに黒系果実の充実した味わいが楽しめるから面白い。ひとによって樽香が効き過ぎているとの評価もあるが、私はそれほどでもないと思ったりする。
2004 甲州シュールリー フジッコワイナリー 2005/09/22 in ninosa
辛口仕上げながらも甘いシュールリーのニュアンスに、きっちりとしたミネラル感が頬を緩ませる逸品。酸のバランスも良く、にっぽんハッピーワイン的に必須アイテムになりそうな気配である。1260円史上最高の味わいかも。
1992 ニュイ・サン・ジョルジュ アンリ・ジャイエ 2005/09/23 in TAIGA WINE SALON
オフビンテージにして、きっちりとしたワインを造り上げるアンリ・ジャイエの実力をまざまざと見せつけられた感が楽しくも、切ないなあ・・・。まだまだ10年以上は持ちそうな予感もあるが、この日の味わいは、まさにベストなタイミングでもあり、アンリ・ジャイエを心置きなく楽しめて、ほっとしたりする。
1992 ニュイ・サン・ジョルジュ1級ダモード ジャイエ・ジル 2005/09/23 in TAIGA WINE SALON
樽由来の甘い焦がし香と、やや秀でた加減の酸味と、あとに続くうまみ成分とながい余韻。どの段階の味わいがすきなのか、人それぞれに好みを分けそうな不思議な味わい。この樽香は圧倒的な支持を受けつつ、敵も作りそうで、しかしブルゴーニュワインのひとつの形を意識するので、実に興味深いワインには違いない。
1990 ニュイ・サン・ジョルジュ1級オーミュルジュ メオ・カミュゼ 2005/09/24 in LA
PORTA
1990という偉大な年を意識すると、このワインは穏やかで繊細。ボリューム感のあるメリハリの利いたわかりやすい味わいではなく、時間と共にゆっくりと開花するおだやかさが秀逸で、ブルゴーニュの繊細さと妖艶さが入り混じる銘醸。ロブマイヤーにアシストされた味わいは、心地よい食感と長い余韻を楽しめる逸品だっだ。
2003 フィリップ・パカレ 水平 2005/09/25 in Via del Borgo
某氏曰く「ムルソー最高」のパカレをいろいろと。
パカレはやはり抜栓方法が難しく、サービス側は大変疲れるが、ひとたびうまく飲むことができれば、ブルゴーニュの、自然派の、パカレの魅力を強烈に紹介できたりもするから不思議だ。パカレには、やはり時間が必要で、本当ならぱ時間をたっぷりかけて楽しみたく、一杯ずつでは物足りないが、しかし今宵は素敵においしくサービスできて、ほっとしたりする。そしてパカレに伝えたい。「シャンボールのコルクのサイズが合ってないぞ。ギチギチでソムリエナイフでは開けられず、多分強引に引っ張るならば、ガラスが飛び散りそうだ」と(笑)。ところで今回の飲み方は、雑誌には書いてなく、雑誌のコメントとは全く違う印象を与えてしまったかもしれないが、個人的にはパカレ史上最高においしく飲めたと思っている。
その他いろいろありますが、それはまた別の機会に・・・。
注 保存切り・・・キャップシールを蓋状に丁寧に切り、さも空いてないかのようにすること。実物はセミナーにて。
おしまい
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