ワインと食事のマリアージュにおいて、その定石を教科書的に答えるならば、以下の三つのポイントになると思われ、それらをきっちり押さえておけば、相性において、大はずしはしないと思われる。
1. 色であわせる。
2. 香であわせる。
3. 郷土であわせる。
1.については、お料理の色合いと、ワインの色を合わせようというもので、例えば白身魚にあわせるなら、白ワインがベターだが、それをこんがりフライにしたり、ベリー系のソースと合わせるならば、赤ワインのほうがいい感じであったりするから面白い。お料理とワインを色で繋げてみようという試みは、意外な発見もあり、なかなかに面白い作業だったりもする。
2.に関しては、例えばハーブをあしらったお料理になら、ハーブのニュアンスを持つソービニョンブランが合うし、バターを使ったお料理には、その風味を持つシャルドネがあわせやすい。香のイメージをお料理とワインであわせるのが、最もポピュラーな相性の探り方であり、お料理をつくる上でも合わせるワインを想像すると、いい感じにつくることも出来たりする。
そして3.については、ワインとお料理の産地を同じにすれば、長い食文化を通じてお互いが親しまれてきた何かを感じることができるというもの。ブルゴーニュ地方でいうならば、エスカルゴにアリゴテをあわせ、ブッフ・ブルギニヨンにはピノ・ノワールが合うように、である。地元の人たちによって育まれた食文化を、そのレシピとワインで、日本に居ながらにして体感できるので、自宅ではつくれないメニュでも、なじみのレストランで大いに楽しめることだろう。
しかしである。
この3つのポイントには、大きな前提があることを記さなければならない。
それは、お料理がおいしくなければならない、ということ。料理が不味ければ、基本的にはどんなワインでも合いようがない。だって不味いんだもの、しかたがない。そんなもの食えないっすよモードも全開なのだ。そこにワインとのマリアージュは考えられず、ワインと単独としての楽しみを見出すしか手立てもないのだ。
お料理がおいしいと、上記三つ定石に縛られなくとも、自由な発想で、楽しいマリアージュが体感できたりする。先日も平塚のいつものハッピー・ブラッスリーでは、こんがり焼いてアーモンドをちりばめたお魚料理にも、地の野菜を使った豚肉のポトフ仕立てにも、その両方に某勝沼醸造の同じ銘柄の甲州ワインを合わせてきて、それはとても楽しいマリアージュを体感できた。
香、色、郷土の三原則を押さえつつ、自由な発想でマリアージュが楽しめると、ワインがより一層おいしくなり、またひいては食に対する楽しみが大いに増すから不思議である。教科書どおりのマリアージュに飽きたら、おいしいハッピーレストランに足を運ぶとよいだろう。そんなお店は、意外に多くはないが、運良くそんなお店にたどり着けたのなら、きっと新たな食の世界を楽しむこともできるのだから。そしてこっそりとそのお店を紹介して欲しい(笑)。
ワインは、おいしいお料理とともに・・・とても大切なことである。
おしまい
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