ドメーヌ・シャンパーニュという言い方  にしかたゆうじ 2005/10/27

 一部の店舗や雑誌、HP上で使用されるドメーヌ・シャンパーニュという言い方について。

 どうも、個人的に、ドメーヌ・シャンパーニュという言い回しは、納まりが悪く、嫌いである。ドメーヌ・シャンパーニュとは、自社畑のぶどうだけを用い、ベースとなるワインの醸造から瓶内第二次発酵、瓶熟、出荷、納税までのすべての行程を行う生産者によって作られたシャンパンのことを指すらしいが、シャンパーニュ地方には、これと同義語に、(日本人には発音がややけったいだが)、レコルタン・マニピュラン = RM = Récoltant-Manipulant (=自らぶどうを収穫して、醸造する人)のシャンパーニュがあるので、その用語を使用したいと思っている。

 ドメーヌ・シャンパーニュではなく、

 レコルタン・マニピュランのシャンパーニュ。

 いつのころからこんな言い回しがされるようになったのかは不明だが、どうもこのドメーヌ・シャンパーニュは、しっくりこない。それは、ドメーヌ・ブルゴーニュという表現がないのと同じで、またシャトー・ボルドーという表現もないのと同じで、なにやらケツの座りが悪いのである。

 これは、レコルタン・マニピュランという言葉が、日本人に発音しづらいための造語なのだろうか。そうだとするならば、一般消費者を小馬鹿にした表現といえなくもなく、あなた方はRécoltant-Manipulantを発音できないでしょうから、ドメーヌ・シャンパーニュ(またはもっとくだけてシャンパン)という名で販売しますね、といわれているような気がしてならないのだ。

 「レコルタン・マニピュラン」と100回言ってみよう。

 それでも覚えられなければ、1000回言ってみよう。

 シャンパーニュを含むワインは、お酒であると同時に、食文化でもある。そうだとするならば、その文化を地元の人たちと同じレベルで、体感するには、シャンパーニュ地方で用いられるレコルタン・マニピュランという言葉を使うことが必要だと思う。その地方の食文化を、その地方の言葉で共有したい。日本語とフランス語という言葉の大きな壁に阻まれながらも、ちょっとした単語は、変に意訳せずに、そのままの言葉を使いたいと思うからだ。

 いいにくい言葉も、ワイン売り場で1000回唱えれば、きっとその真意は伝わり、シャンパーニュのおいしさも伝わると思っているのは、私だけではないことを祈りつつ、こんどは、くーぺらてぃぶ・ど・まにぴゅらんと、100回唱えてみようと思う。(こっちは1,056回位唱えないと、個人的には厳しそうだが・・・)


参考
シャンパーニュのメーカーの業態
RM Récoltant-Manipulant 小規模自家栽培・醸造メーカー
NM Négociant-Manipulant シャンパンメーカーで、自社畑のほか買い付け葡萄も使用
CM Coopérative de Manipulant 生産者協同組合での製造販売
MA Marque d’Acheteur 買い手(レストランなど)のブランド名
RC Récoltant- Coopérative 栽培家が加盟する協同組合による製造
SR Société de Récoltant 同族の栽培家によって構成される会社



おしまい

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