今年も残り僅かになり、巷では今年を総括するイベントなども盛りだくさんになってきたので、当サイトでも今年印象に残ったワインをカテゴリー別に振り返ってみようと思う。分母のワインは相当数あり、その記録を捲るだけでも気合がいるので、ここはざっくばらんに思い出した順で行こうと思う。
【村名・一級ワイン編】
ブルゴーニュのヒエラルキーは、かなりの精度で正しいと思っているが、その中でも特に印象に残っているワインを挙げてみよう。
2002 ヴォーヌ・ロマネ VV イヴ・ビゾー
このワインは明らかに村名のレベルを超えて、特級ワインに似た感動を持っている。香が豊かで、奥行きがあり、和の侘び寂びに通じる世界観が、心を洗わせる。古木ならでは、のしなやかさが印象的で、このワインをロブマイヤーでいただけば、涙も頬を伝ったりする。ただ残念ながらビゾーはブショネも多く(自分調べ)、外れると痛恨の一撃を食らうところが辛い。
2002 ニュイ・サン・ジョルジュ1級 プリューレ・ロック
ロックのモノポール クロ・デ・コルベのセカンドワイン的な立場のワインで、クロデコルベが25000円もするのに対し、1/4程度で入手可能なところがうれしい。このワインのうまみは、デカンタをしてこそ開かれるもので、抜栓直後の茎っぽさを取り除くことができたなら、男性的なアペラシオンにあって、自然派特有の優しいタッチが絶妙なバランスで飲み手をくすぐるから面白い。私はこのワインを10何本抜栓したのだろう。今年一番空けたワインかもしれない。
2003 ニュイ・サン・ジョルジュ1級プルリエ フィリップ・エ・ヴァンサン・レシノー
補酸をしなかったレシノーの2003年は、優しい味わいに包まれ、今とてもおいしいが、なかでもこの一級プルリエはワインとしての最高の味わいをかもし出していた。(特級クロ・ド・ラ・ロッシュは、別次元に誘ってしまう芸術作品であり、ワインとして飲むならプルリエを推したい)。ベリー系の甘い香が2003年の酷暑を連想させ、うまみの乗った味わいは、その酷暑にも耐えたピノノワールの不思議な生命力を感じさせる。すばらしい逸品で、ロブマイヤー冥利に尽きるかも。
2002 サビニー・レ・ボーヌ1級ラピエール ルイ・シュニュ
近頃の濃くって強いワインがもてはやされる中、ルイ・シュニュはとても地味ながら、滋味な味わいが心地よく、和のお吸い物に似たおだし系の味わいが印象的。自然派張りの薄い色合いは透明感に満ち、ピノ・ノワールの本来の色合いを彷彿とさせ、梅鰹に通じる酸味ベースの味わいは、日本人の心の奥に馴染むようなおいしさを楽しませてくれる。サビニーがおいしいと、日本の食卓はとてもハッピー。そんなことを思わせてくれる名作である。
2000 ジュブレ・シャンベルタン1級 ドニ・モルテ
あまく切ない味わいに、熟成モードが加わった逸品。北米市場を狙ったと思われるハイパーインパクト系のドニ・モルテは出会いの衝撃とは裏腹に、ある程度飲み進めると飽きてくる感が悲しげだったりするが、2000年のビンテージを今飲むタイミングで抜栓すると、とても日本人に馴染みやすいいぶりがっこに似た風情が楽しめて美味である。昔、愛しのドニーと言っていたあの頃の記憶も蘇ってくる。セミナーの定番ワインのひとつ。
2003 シャブリ ベルエール・エ・クラルディ アリス・エ・オリビエ・ド・ムール
シャブリらしくない不思議なシャブリの魅力を味あわせてくれた名作。身体に馴染むその味わいは、しばらくはシャルドネのワインはこれ以外は拒絶しかねないほどのインパクトを持っていた。ややもすると商業的な味わいしかしないシャブリであるが、この一風変わった不思議なシャブリは、大地の恵を素直に喉元で感じさせてくれるから面白い。このワインを飲まなければ、ドメーヌを訪ねることはなかっただろう。
2003 リュリ レ・サン・ジャック フランソワ・ダレーヌ
リュリの白ワインにムルソー的な要素を感じ、太陽の味わいを楽しませてくれる逸品。コストパフォーマンスは最高で、フランソワ・ダレーヌというマイナーなネゴシアンを見つけてきた某インポータの某女史の不思議なネットワークに感謝しつつ、このパワーは2003年ゆえかと思うところが、リュリの辛いところかもしれない。
今年はあまりシャルドネにご縁がなかったかも・・・(笑)
つづく
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