うーん。先週の金曜日と土曜日に開催したワインセミナーでは、メインのワインが二夜連続でブショネ(TCA汚染によるコルク臭)に見舞われ、痛恨の一撃を連続して受けてしまい、なにやら頭も体も朦朧しています(笑)
最近、ブショネに関しては、個人的には相当感知能力が上がってしまったようで、それはコルクを抜く前にそれを察知してしまうことからも、明白になりつつあります。コルク臭の原因はほとんど解明されており、最近ではコルクメーカーや各ワイナリーでの改善措置も急速に進んでいるようで、最新ビンテージを飲む場合には、ブショネに出会う確率も減ってきていていますが、少し古めのビンテージを開けるときは、大方の予想通り、5%以上の確率で遭遇してしまっています(自分調べ)。
ところで、なぜ私は、コルクを抜く前に、ブショネかどうかがわかるようになったのでしょう。
それは、キャップ・シールをソムリエナイフではがすときに、うっすらと感じられるボトルとコルクとキャップシールの間でくすぶっていた空気の臭いから異常を感じることができるようになったからです。健全なワインからは決して感じ取れない不快臭が、ブショネ(と推測される)のボトルからは感じられ、コルクの周りをくんくん嗅ぐと、その予想は相当確かなものになって行きます。ひどいものになると、コルクとボトルの接着面に黄緑色の変色が見られ、それが表面にまで現れていると、ほぼ確実にブショネであり、変色がない場合でも、ブショネが疑われるコルクからはダンボールが一度湿って乾いたような匂いが漂ってしまいます。
しかし、コルクが駄目でも、ワインが健全である場合もあるかと思いつつ、また実際にワインで判断しなければならないので、恐る恐るコルクを抜くわけですが、最近はブショネを疑ったボトルは100%、TCA汚染の臭いが感じられ、私の笑みは、例外なくかき消されるのでした。(完璧なブショネは、デカンタしようが冷やそうが温めようが、駄目なものは駄目な場合がほとんどで、復活することはほとんどないようです・・・)
ブショネはコルクを使っている以上、否定できないものですが、それが希少かつ、メインのワインで現れると、私のテンションは一気に下がりつつ、代替ワインがある場合は、そのワインに躊躇なくソムリエナイフを当て、用意できない場合には、事前に事情を説明したり、「これがブショネですので、こんなワインにレストランで遭遇したら、ソムリエに相談してみましょう」というような厳しい提案をさせていただいたりしています。(これもひとえにワインセミナーということで・・・)
いずれにしても、何種類か抜栓予定の会でなら、途中のワインでブショネに遭遇しても何とかフォローできますが、メインでぶち当たると、私は一気に狼狽モードに突入し、「これだからワインはつらいっす」と言葉少なげに、うな垂れるのでした。ブショネの感知については、人によっても、またその人の経験によっても、感知の程度に差があり、言われなければそれと気づかない場合も多く、軽度の場合は告知をするかしないか悩むところではありますが、某回転寿司の店主の言葉「現場で嘘をついちゃ駄目なんだよ」を座右の銘に掲げようとしている者として、またワインの健全な楽しみ方をご提案したいものとしても、ここは正直に告白しつつ、その場をどうやって切り抜けるかを考えあぐねているのでした。
そんな私を見かけたときは、「ブショネは、しょうがないですね」、と一声かけてもらえると、かろうじて元気になったりするところが、お茶目だったりします(自分で言うなという説もありますが・・・)
いずれにしてもブショネは現状では回避できないので、友好的にというのも変ですが、いい塩梅に付き合っていきたいと思ったりするのでした・・・。というわけで、先週の金曜と土曜の会のラストが、いまいち締りが悪かったのは、そんなわけなので、許してやっていただければ幸いです。
つづく
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