最近、いろいろあったり、なかったりで、DRC社のワインを抜栓する機会が増えてきた。
1976 ロマネ・コンティ
1982 ロマネ・コンティ
2000 ラ・ターシュ
2002 グラン・エシェゾー
2002 エシェゾー
2002 ヴォーヌ・ロマネ1級
2000 モンラッシェ
1985 モンラッシェ (予定)
DRCのワインは、なぜにこんなにうまいのか。そして、なぜに人々を魅了しつづけるのか。DRCのワインを抜栓すればするほど、その魅力に嵌りつつ、他社とのオーラの違いを感じざるを得なくなる。
ブルゴーニュは、AOCのレベルと精度が極めて高い産地であり、その頂点にロマネ・コンティとモンラッシェが君臨することは、過去においても、現時点でも、否定しがたい事実。海外では、ロマネ・コンティの本が出版されたばかりで、最新のデータをつぶさに観察できるが、日本のワイン雑誌は、こぞってDRCを回避する。その明確な理由は知らないが、しかし、DRCを語らずしてブルゴーニュを語ることは、やはりありえない。それは先のワールドカップで、イタリア対フランスの試合を語らずにワールドカップの話が出来ないのと同じだろう。
DRCが発するオーラは、それをただ飲めばいいというものではない。バカラのロマネ・コンティ・グラス、またはロブマイヤ・バレリーナシリーズ・グラスVでもって、そのオーラをしっかりと受け止め、両者の絶妙なコンビネーションにより、大地の奇跡はその本領を発揮し始める、と信じている。ものは器とよく言うが、その感激と感動は、言葉での伝達に限界を感じざるを得ず、その二つの組み合わせを手にした者としか共有できない神秘の世界が、この星に存在し、展開されている。それはまさに隆太窯のお茶碗を、それを手にしたものだけが共有しうる芸術性と同じであろう。
最近の中国市場の台頭とユーロ高の影響を受け、DRCの販売価格は鰻登りが予想される。いずれその高価格ゆえに日本人の多くが飲むことを断念せざるを得ない状況に追い込まれるかもしれない。もうすでにロマネ・コンティの価格は最新ビンテージすら50万円を超え、古酒の領域に達するか、しないかの段階で100万円の大台を突破しているのだ。またラ・ターシュなどのほかのラインナップも右に倣えの状態で、数年後、どこかで歯止めが利かなければ、DRCのワインの価格は、末っ子扱いのエシェゾーですら大卒初任給では買えない領域に達するかも知れず、(大げさな表現であることを祈りつつ・・・)ブルゴーニュ愛好家には、強烈に頭の痛いところ。DRCを飲みうる顧客が、日本人から中国人へとまさにシフトしようとしているようでもある。
しかし、今ならまだ間に合う。
セミナーなどで、DRCを抜栓するとき、セミナー参加者の表情は、明らかに他のワインを口にするときとは、違う。それは同じく強烈な個性を発揮するアンリ・ジャイエのワインとも違う表情だ。それはいつも私に新鮮な驚きを与え、そして私がその昔、初めてDRCのワインを飲んだときの感激が走馬灯のように駆け巡る。DRCが発するオーラは、かくも魅力的で、しっかりと存在しているのだ。
D.R.C. = ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ
もうすでに一人やふたりで飲むには価格的に厳しくなってしまったDRCを、今後もセミナーなどで紹介し続けたいと思うこの頃だったりする。DRCが発するオーラを今のうちに体感してもらいたい。DRCが昔話の領域に達するには、どれほどの猶予があるのだろうか。2,3年後にやってくるビッグビンテージの誉れも高い2005年ビンテージの登場が、DRCを昔話にさせる原動力があることを、私は密かに心配していたりする。
DRCのワインを、今のうちに飲んでおこう !!!
おしまい
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