テタンジェ コレクションの誘惑  にしかたゆうじ 2007/06/04


 最近になって、テタンジェのプレスティージュ・シャンパーニュ 「コレクション」を、新潟県某所と山梨県某所で開栓しつつ、そのゴージャスなおいしさに、「さすが」と唸らざるを得なかったりするこの頃です。ワインの評価は、人それぞれにあるかと思いますが、ここではこのシャンパンならではの特徴に迫ってみたいと思います。

 写真のとおり、テタンジェのコレクションは、ボトルに装飾がしてありますが、これは瓶に直接描かれているものではなく、瓶を覆うプラッチックに描かれています。遠めに見る分には美しい装飾ですが、手に取ると、そこはプラッチツク。なかなかチャッチー感想も持ちつつ、その特徴はまさにプラッチック由来のものにたどり着きます。

 まず第一に、ボトルはプラッチックに覆われているために、直射日光を完璧に遮断しています。太陽光線がシャンパンやワインに限らずお酒全体に悪影響を及ぼすことは知られており、そのために瓶に緑や茶色の色素が混入されて、日光の影響を遮断するように配慮されていますが、このコレクションは、プラッチックで覆われ、日光を遮るという点で、ほぼ完璧かと思われます。

 しかし、そのプラッチックゆえに次の二点において、不利に働くものと推測できます。まずはこのプラッチックは完全に瓶と密着しておらず、間に空気が介在しています。それは、「冷やしにくい」ことを意味し、ワインクーラーにて冷やそうとしても、プラッチク・空気・瓶・中身のシャンパンという段階を得なければ、冷たさを液体に伝えることができず、シャンパンを飲むための最適な温度を確保することが異様に難しかったりします。また普通の瓶ならば、瓶の温度自体から中身のワインの温度も推測できたりしますが、プラッチックはその点も不器用。すぐ外気に馴染む温度にして、その奥の温度は容易に推測できないのです。ここはもう時間をかけて冷やすしかありませんが、すばらしいシャンパンの多くがそうであるように、温すぎても、冷やしすぎてもその味わいを堪能できないところが悩みどころです。

 そして、プラッチックが完全に瓶と密着していないところに、第二の悲劇が待ち構えています。

 このプラッチックの成形方法は不明ですが、ネックのところで接着した後があり、そこに少なからぬ隙間があるのです。その隙間から、瓶とプラッチツクの間に水がはいってしまう。ワインクーラーでワインを冷やすとき、氷より上の部分は冷えないので、ボトルをどっぷりと肩まで浸からせるのですが、その時、油断すると瓶とプラッチックの隙間に水が入ってしまいます。それを知らずに、開栓し、シャンパンをグラスに注ごうとすると、プラッチックのネックの部分の隙間から、水がこぼれだし、せっかくのシャンパンと水がグラスの中でブレンドされてしまうのです。(というか一度まさにそんな状況になってしまい、びっくり・・・すみません)

 そうならないためにも、まずは開栓前にボトルをさかさまにするか、急角度に傾斜させ、隙間に入り込んだ水を放出する必要があります。貴重なシャンパンゆえに、ボトルをひっくり返すことに、この上ない抵抗を感じますが、コレクションの水割りにしないためにも、その手立ては必要かと思ったりします。

 またはこんな状況を回避させるためには、完全に空冷にて、最適の温度を確保する必要がありますが、何気に空冷での冷却は、難しいのです。セラーの温度しだいですが、ややその温度では高いような気がしています。

 いずれにしても、テタンジェのコレクションは、直射日光の影響を受けない構造を持ちつつも、飲むための最適温度の確保が難しく、またサービス的に隙間から水が垂れ込まないように、細心の注意が必要であるという3つの特徴を持ったシャンパーニュだったりします。

 ゴージャスの名がふさわしく、おいそれと開栓できない魅惑のシャンパーニュですが、コレクションの深い味わいは、シャンパーニュのひとつの成功例として、ごくっと飲んでおきたいシャンパンのひとつかもしれません。


おしまい


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