「おいピータン!!」 (2003/03/25)

 
 「おいピータン!!」伊藤理佐著 講談社刊が面白い。というか、琴線に触れる。

 日頃大変お世話になっている某氏より、標記のマンガを借りて、@巻からC巻まで一気に読みふけってしまった。日頃あまりマンガは読まないので、マンガ論など書けるはずもないが、この本は身を乗り出して読みたくなるほどだったので、ちょっと紹介してみたい。内容は、一言で言えば、「ごはんが出てくるマンガ」だ。日常生活の何気ない食生活が、こんなにも豊かに、こんなにも美味そうに書かれいてるとは、マイブームサインが点灯しっぱなしである。

 たとえば、不味いラーメンを「うまいうまい」と言って食っている奴とは、公私共にちょっと付き合えないとか。チラシ寿司を作るのは、大切なお客さんを招くときだとか。屋台のおでんの食べ方とか、注文するネタが同じだと親しみを覚えたりとか。バースデイケーキはバラの砂糖菓子が好きか、チョコの家の方が好きかとか。何年も使っている醤油さしに愛着を持っているとか。月に一度しかやってこない屋台の餃子を腹出しながら探したりとか。喫茶店で出てくるカップの模様に疎外感を覚えたりとか。タンメンはタンタンメンの略だと思っていたとか。レディボーデンを熊食いするとか。豚肉は決して牛肉の下位にある食べ物ではないとか。

 そんないわゆる日常生活のたわいのない話なのであるが、ふむふむふむと共感したり、いいなぁぁぁとうらやましがったり、ほっと他人でよかったと思ってみたりと、食にまつわる日常生活がかなりリアルに描かれている。きっとここに登場する人物が近くにいれば、友達になれそうな気がするくらいだ。実際に某氏や某氏や某女史の後姿にダブったりもするから、まんざら他人でもなさそうだが・・・。

 ところでこのマンガ、@巻目だけ小ぶりで紙の質が悪い。どうやら低予算でスタートして、どうにか出版にこぎつけた後評判が評判を呼んで、A巻目から立派な装丁になったようだ。一巻につき20話ぐらいのショートショートなので、どこから読んでも面白く、そして何度読んでも感心したりする。芸も細かい。

 食べ物ネタのマンガはいろいろあるが、等身大のストーリーでここまで共感を読んだのは、前川つかさの「大東京ビンボー生活マニュアル」全五巻 講談社漫画文庫 以来の快挙かもしれない。この名作マンガを某氏に返す期日が迫りつつ、意図的に会わない日々が続きそうである。(嘘である。日本酒のいいのが入ったよといわれれば、のこのこ自転車に乗って参上するはずだ。またはさぬきうどんの名店「さぬき家」さんのおでん食べに行こうよと誘われたら断れない。牛すじがうますぎで、はんぺんもいい感じだからだ。さらに、つみれは絶品だったりもする。しかも激安だし・・・。このマンガ全部読んでしまったけれど、とりあえず全巻買ってみようかな・・・)

 たまにはマンガもいいもんだ。しかし読み続けると腹が減るマンガでもある。


おしまい

編集後記 
本を貸して頂いた某氏より「おいピータンは町田在住の芝田ちゃんの推薦」(原文まま)とのメールを頂戴しました。感謝。
また、このコラムを読んで、さっそく4巻とも購入し、夜を徹して読みましたというメールも愛知県より頂戴しました。感謝。
さらに、藤沢某所で、「本の内容が気になる、早速読まなきゃ」といううれしい感想も聞きました。感謝。

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