我がラー油人生に幸あり (2003/08/02)

 
 念願かなって某日、石垣島ラー油を大森さん(仮名)宅に持ち込むことに成功した。

 しかし、このラー油は驚異的なうまさである。超ウルトラハイパー食通として知られる大森さん(仮名)をして、琉球文化の頂点と言わしめ、特製餃子だけでは物足りず、いろいろとラー油にあわせる特製料理を作ってもらい、ラー油の恐ろしい存在感を共有したのであった。大森さん(仮名)はなおも続ける。このグラデーション豊かな味わいは、沖縄の悲しい歴史に重なり、真っ青な海と真っ青な空の下にもかかわらず100%の開放感を味わえない沖縄の独特の土地柄を反映しているという。沖縄のオーラが、このラー油にも、しみこんでいるという。私は沖縄には行ったことがなく、今ひとつイメージもわかないが、沖縄をしみじみ語る彼の姿もまた印象的なのであった。そして彼にとっても、このラー油が彼の液体史に残る逸品である事に間違いはなさそうである。

 しかし、このラー油は驚異的なうまさである。ラー油をたらした小皿をぺろぺろと舐め尽す姿は、あまり人には見せたくないが、一滴残らず舐めまわしたい欲求は、時として羞恥心を忘れさせる勢いがあったりもする。

 我がラー油人生に幸あり。そして石垣へ、沖縄へ飛ぶ日も近かろう。


おしまい


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