「きららの仕事」 (2003/09/06)

 
 「きららの仕事」原作・早川光 漫画・橋本弧蔵 集英社刊が面白い。

 江戸前鮨職人の海棠きららがその「仕事」振りをみせるこの漫画、そのモデルとなったお寿司屋さんの紹介があったりして読み始めたのだが、これが実に面白いのだ。モデルとなった職人さんは、残念ながら主人公の美少女きららちゃんの方ではなく、唐津で修行中の亀岡さんの方。漫画の亀岡さんはまだまだ駆け出し職人さんだが、実際の職人さんはすでに名人の域に達している人であり、坊主頭のそっくりな顔立ちだけが印象に残りつつ、その某職人さんが握る鮨には常に感動させてもらったりする。この職人さんが握る鮨は、どうしようもなく、うまい。サプライズと感動と長い余韻。究極のブルゴーニュワインに通ずるこの喜びは、日本人に生まれた喜びを噛み締めずにはいられないほどだ。

 魚を旨くすると書いて、鮨。

 漫画を読み、実際においしいお鮨を頂くと、より一層食事に対する思いも募り、なんだか元気もりもりになれるから不思議であり、そしてありがたい。漁師さんが魚を釣って、トラックの運ちゃんが新鮮な魚を築地に運び、鮨職人が握る。そしてそれを頂く。この見事な連係プレーに対し、その対価を惜しみなく払いたいこの頃なのである。旨いものには理由があって、苦労があって、技がある。そのどれもにも「人」が関わっている出会いに感謝なのである。


おしまい


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