TRIPPA通信 - プロの文章は感動する - (2005/11/05)

 
 日頃お世話になっている某女史にご紹介いただき、TRIPPA通信なるブログにアクセスしてみた。

 このブログは、料理王国の元編集スタッフ9名が立ち上げたばかりの、生まれたてほやほやのサイトであるが、私はこのブログに俄然、そして最優先的に、注目している。詳細はサイトにアクセスしていただくとして、11/3付けの第一作目「【おいしさ】をめぐる5つの命題と2つの現場」は、私が常、日頃考えていることに、まさにビンゴな文章であり、その短い文章からは、彼女たちの「食」に対する熱意と愛情が、ビビッと伝わって来て、大共感なのである。

 そして思う。このブログの(まだ?)短い文章は、プロの仕事である、と。ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキングサイト←私も実はやってたりします。サボっててすみません)などの普及により、誰もが情報を発信することができる時代なったが、やはりプロな文章は、読んでいて心地よく、魂が揺さぶられる思いがするのだ。短くも的確であり、そこに強烈なメッセージを感じるからだ。こんな文章を私も書きたいと思う。

 まだ一編しかないが、「【おいしさ】をめぐる5つの命題と2つの現場」からは、TRIPPA隊の思いの丈が伝わってきて、ここに「食」の楽しさと奥深さと、そして文化を感じることができるから楽しくなってくる。例えば、アルザスのデザートとブルターニュのデザートはナニが違うのか。その本質を短い引用文で紹介されると、アルザスのデザートを無性に食べたくなり、そしてもっとそれ以上に、ブルターニュのデザートが食べたくて近所のブラッスリーに走りたくなってくる。

 料理やレストラン(そしてワイン)に点数をつけたりする作業からは、決して生まれてこないこの衝撃に、言葉のパワーを痛感すると共に、職人の思いと技術がダイレクトに伝わってくるから凄い。これこそが食文化なのだ。そして、その食文化の共有こそが、食の楽しさなんだと思い知らされる。ただ甘いものが食べたいのなら、駅前のチェーン店のケーキを食べればいい。ただおいしいものが食べたいのなら、誰かのつけた点数を辿っていけばいい。しかし、ブルターニュ地方のデザートのフォークのラインが意味するところを知ってしまった人には、誰かの点数なんて、表面的で、むにゃむにゃむにゃ・・・(笑)、ではないか。

 ブログ中の命題2にいう、おいしさの向こう側を、一緒に見に行きたいと思いつつ、このブログをブックマークの最上段に置きなおす作業をこれからしようと思う。近い将来、そんな彼女たちと食卓を囲めたら、(生半可な上辺だけの知識を玉砕されつつ)、きっとたのしいだろうなあと思ったりする。

 TRIPPA隊の成功を、余計なお世話ながら、祈願しつつ、ここに紹介してみた。


 おしまい


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