回転の怪 (2007/06/13)

 
 ブルゴーニュ魂的ワインセミナーの主要会場として、例の回転寿司がありますが、ここで来月の七夕の日に、「メゾン・ルロワのラ・ロマネ1962の会」を開催するに当たって、何度かご参加いただいている某氏から、こんなメールを頂戴しました。

 「むむぅ〜!? 例の回転ですかぁ…。あそこだと、「ワイン」と「店長のテンション」が素晴らしければ素晴らしいほど帰路の虚空感が増すような…。」

 そう、そこなんです。カラスがカアと鳴けば、泣いてしまいそうな、あのなんともいえない空虚感が、文化祭や体育祭の後片付けの風景に似て、あの回転寿司には、なんともいえない哀愁が漂ってしまいます。回転寿司という日常の中に、一瞬だけ顔をのぞかせる、非日常の世界。その非日常は、つかの間の砂遊びのような、知らぬ間に満潮になってしまった砂浜に似て、気づいたときにはすでに終わっている不思議な空間だったりします。

 そんな回転寿司って世界広しといえども、あそこにしかない独特の空気感。それは、ヴォーヌ・ロマネ村のピノ・ノワールにしか持ち得ない独特のせつなさに共通する何かを持っていて、私はかなり好きな「食空間」だったりします。だから、回転寿司のセミナーには、ラ・ターシュやロマネ・コンティ、ロマネ・サン・ヴィヴァンが惜しげもなく登場するのです。ヴォーヌ・ロマネの真髄に触れる場所として、最適な場所と信じるがゆえに、ぜひ一度、小田原のあの回転寿司の門をたたいてもらいたいと思うこの頃だったりします。

 小田原は遠いのか・・・。

 少なくとも私の家からは、近いです。車で行けば、信号は二つしかないし・・・(笑)


おしまい

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