にっぽんハッピーワイン


 2005年 日本の収穫風景 その1 

 2005年8月17日午前。金井醸造場のシャルドネ。

 日本でビオディナミ農法を実践し、「ゴッド・ハンド」を持つ男として知られる金井一郎率いる金井醸造場が自己所有する山梨県山梨市万力地区のシャルドネ畑の収穫に、ブルゴーニュ魂も参加させていただき、久しぶりに心地よい汗をかかせていただいた。山梨県内の某ワイナリーの某氏に寄れば、「早摘みの一郎」の異名をとる金井氏は、周辺地域のどこよりも早くにシャルドネの収穫を開始し、その日のうちに全てを収穫したのだった。

2005年8月17日午前10時半頃 畑での細かい選果作業
   
1ケースで約10キログラム 収穫された畑

 収穫日の決定は前々日の15日に行われ、金井氏に寄れば、「天候と日取りの関係で決定」したとのこと。ここでは糖度や酸度などの技術的なデータの紹介は割愛しつつも、当日は天候にも恵まれ、早朝より一郎氏とご家族、そして地元在住の栽培の某エキスパートが、醸造場にほど近いシャルドネ畑に集合していた。畑では、ひと房ごとに手摘みをし、その場で厳しい選果を行い、基準に満たない房は容赦なく捨てられ、健全果だけが収穫ケースに収められたのだった。

 夕方6時ごろまで続いた収穫は、淡々と進められ、ある意味陽気で、お祭り騒ぎ的な要素も含みつつ、時にアルコホリックなブルゴーニュのそれとは違い、まじめな日本人気質を垣間見るかのごとくで、そう広くない畑に、6名ほどが畝ごとに黙々と収穫しては、カイガラムシや一部の腐敗果などと格闘しつつ、順調に収穫をしていったのだった。選果をこれほどまでに厳密に行われなければ、小一時間で終わりそうなくらいの畑であるが、「ゴッド・ハンド」一郎氏の、まずはぶどうありきの哲学により、丸一日をかけて丁寧に収穫されたのだった。そして万力の名でリリースされる(はずの)シャルドネの今後の成長具合に、大いなる希望を寄せたくなるのだった。

 ところで、個人的には、他社は9月に入ってから収穫されるであろうシャルドネをこの時期に収穫することは、明らかに早いような気もしないでもないが、早摘みに対する評価は、結局はワインの味わいの中に映し出されるものであるので、ここはひとつ醸造と熟成を静かに見守りながら、ハッピーレストランでサービスされる日を待ちわびたいと思ったりする。

 畑の面積や収穫量、樹齢や土壌の成分については、公式サイトに譲りつつ、(そこまで明記されていないという説もあるが・・・)、まずはとりいそぎ。


 しかし、収穫はまさに農業そのものの体力勝負。

 明らかに日焼けした腕と顔を見つつ、収穫のあとのビールがうまいなあ、である。


つづく





目 次   HOME

Copyright (C) 1988-2005 Yuji Nishikata All Rights Reserved.