にっぽんハッピーワイン |
第一部 15h30-17h40 第一部は、ワイナリーの方からのトークとワインのテイスティングに重きを置いた会として、2時間強に渡って、アカデミックに、そしてハッピーに開催しました。機山洋酒工業の土屋由香里さん、タケダワイナリーの岸平(きしだいら)典子さんのおふたりには、それぞれの郷土やワイナリーの紹介、ワイン造りに至る経緯やワイン造りに当たっての喜怒哀楽など、現場での生の声を語っていただきました。栽培者として、また醸造家として、営業マンとして、そしてワイナリー経営者としての貴重なお話は、早々に本音トークに到達し、この場でしか聞くことができない貴重なお話でした。 日本にこだわり、地元にこだわり、自分たちのぶどうにこだわり、自分たちの理想とするワイン造りを実践するお二人の貴重なお話は、テレビ番組や雑誌、または大ホールでの講演会などからは決して聞くことができない声だったと思います。岸平さんの「自己満足的な【作品】を作るのではなく、消費者に飲まれるワインを造る」という言葉が印象的で、熱くも冷静なワイン造りの姿勢に、「うまい」理由を感じることができました。そして会はワインのテイスティングへと移行します。食事はワンフプレートのオードブルをいろいろとお楽しみいただきつつ、なんとHxMさんの心憎い演出のひとつとしてヴァン・ピックル(串)には、キザンのメルロの枝が用いられ、お料理に華が添えられました。 ワインリスト 2003 キザン・セレクション・シャルドネ 機山洋酒工業 2003 レ・フレール 樽発酵シャルドネ タケダワイナリー 2002 キザン・セレクション・カベルネソービニョン/メルロ 機山洋酒工業 2001 シャトー・タケダ 赤・カベルネソービニョン/メルロ タケダワイナリー ワインはそけぞれINAOテイスティンググラスにサーヴされ、同じ品種を用いた両ワイナリーの味わいの違いやおいしさを堪能していただきました。ワインごとに造り手本人から解説が入り、六人がけのテーブルを囲んだ人たちの同席ゆえの出会いもありつつ、会場はハッピーな雰囲気に包まれたのでした。 第二部 18h30-21h50
会の中で、まず特筆すべきは、両ワイナリーのスパークリングワインの競演でしょう。タケダワイナリーのドメーヌ・タケダ・キュベ・ヨシコは、岸平さんの母の名を冠した瓶内二次発酵によるスパークリングワインで、ぶどう品種は自社畑のシャルドネ100%による日本を代表するスパークリングワインのひとつ。販売価格8400円という設定のため(その理由は、飲めば一発でわかります)、普段なかなか注文しにくいワインのひとつですが、岸平さんから瓶内二次発酵の仕組みを直接聞きながら、味わうことができて、感無量です。味わい的にはドザージュ・ゼロの超辛口タイプで、しかしエッジには丸みを帯びた感もあり、素直においしいスパークリングワインでした。同時にサービスされたのは、キザンの同じく瓶内二次発酵によるスパークリングワイン。このワインは発売と同時に売切れてしまうため、非常に希少な日本ワインのひとつに挙げられますが、粋なお計らいにより、同時に楽しむことができました。甲州の味わいが、スパークリングしていて、思わず「うまい」と舌鼓です。この2本は同時に抜栓され、乾杯用のワインとして華やかな会のスタートを飾りましたが、参加者の皆さんが、どちらのワインで乾杯したのか、興味はそそられまくりでした。 乾杯の後は、HxMさんの素敵なディナーがスタート。ワインと食事のマリアージュを意識した構成は、ワイン造りの設計図とお料理の設計図の事前の照らし合わせが完璧に近かったので、すんなり違和感なく展開され、HxMさんの実力の高さを裏付ける結果となりました。 ワインに関して補足するならば、キザンの白2003もすでに市場では入手ができないワインですが、惜しげもなく何本も抜栓される光景は、個人的には圧巻の領域。タケダのピュア・シャルドネは、樽を用いず造られた白ワインで、シャルドネという品種の本来の味わいを楽しむことができ、日本で育ったシャルドネの品質の高さに、思わず、うれしくなってしまいました。 赤ワインは、鯨のコンフィと共に供され、お料理のソースとは甘酸っぱいマスカット・ベリーA サンスーフル(亜硫酸無添加)がよく合い、鯨そのものとはキザンのファミリー・リザーブのタニックなところが素敵なマリアージュを見せていました。(後日談によれば、今回の鯨肉は相当貴重なものだったらしいです・・・。) ワインという大地の恵みと、鯨という海のジビエ(命名 = 菊池シェフ)が織り成す絶妙のハーモニーは、鯨という特性のため、再現も難しいですが、今宵はかなり素敵なマリアージュとなり、感激の一言です。鯨は、鹿肉にも似た味わいがあり、それなのに口の中でとろける不思議な食感が印象的な食材で、捕鯨再開を強く望みたいと思わせる逸品でした。 しかし、楽しい会も、いつかは終了せねばなりません。 会の最後には、とっておきの質問コーナーもあったりで、なんだかとても和やかにして、時にアカデミックな会は予定時間を大幅に延長して、和気藹々と終了したのでした。 この場も借りて、総勢50名にも及ぶご参加いただいた方々と、タケダワイナリーと機山洋酒工業(順不同)と、ブラッスリーHxMさんに感謝申し上げつつ、日本のワインをめぐる一夜は更けていくのでした。 日本のワインは、おいしいワイン。 2006/02/01記 つづく
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