コラム1 人はなぜパンツを取り替えるのか。

 パンツの役割とは何だろうと考えてみることがある。男性に限って話しを進めると、第一の目的は おちんちんの保護だろう。パンツなしにジーンズなり、スーツを着ると、ちょうど社会の窓の ファスナーに当たって痛い。特に走ったりした場合擦れるし、チャックを上げるときに毛を 挟んだりする。そこでクッションの代わりにパンツを穿くのだろう。

 第二の理由は、汚れの防止だろう。男性の下半身には、排泄機能が集中している。排泄は、 匂いを伴う。その匂いがダイレクトにスーツに付くと、クリーニング代もかさむし、おしっこの 跡などが残って外見上の清潔感も失われてしまう。せっかくのデートも台無しになることだろう。 そこで男性はパンツを穿いて、男としての存在と清潔感を維持しているのだろう。

 ところでなぜパンツは汚れるのか。もう少し突っ込んで話を進めたい。汚れの理由は排泄と 関係があるようだが、具体的にはどういう事だろう。そのためにはパンツの内側について 考える必要がありそうだ。汚い話で恐縮だが、パンツを汚す原因は四つあると思われる。うんこ、 おしっこ、体液、汗の四つだ。そしてそれらに匂いはかかせない。

 うんこについては、その状態に左右されている。つまり、便秘なのか、正常なのか、下痢なのか。 硬さで表現すれば、硬い、普通、ゆるい。この三形態のうちパンツの汚れに関係があるのは、 ゆるい場合だ。ゆるいとどうなるか。筋として形跡が残ることになる。なぜか。まず排泄時の 拭き残しに原因がある。ペーパーで拭き取ったとき、いわゆるベッタリしている場合だ。 下痢気味の時は、よほど念入りに拭き取らないと、割れ目の土手に付着したままになってしまう。 これはパンツがお尻に食い込んだときに、筋として残るだろう。さらに、拭き取りは完璧でも、 門の絞まりが弱いと滲んでくるときがある。この時はこまめにトイレに通うか、ペーパーをお尻に 挟みこませるしか手立てがない。

 もし仮に筋として残ってしまった場合、当然匂いは避けられない。この場合自分のうんこは汚いか 否かの議論に飛躍する人がいるが、今回は匂いに限定しているので、臭い臭くないは別にして確実に 匂いは残ってしまう。ただし、これもスラックスとブリーフでは付着率が違ってくる。ブリーフの ほうが肌への密着度が高いので、下痢気味のときは避けたほうがよいかもしれない。最近は色付きの ブリーフも多いので、ちょっとぐらいついても気が付かないが。

 おしっこについては、うんこの頻度と比べても圧倒的に多いので、匂いの原因となりやすい。 おしっこは普通おちんちんの棒の先から発射される。おしっこを直接衣服に垂れ流す人はそう 多くないだろうから、注意すべきはその終了時と思われる。おしっこは、大抵振動によって 振り絞られて終わる。右手なり左手なりのアシストを受け、時には全身の振動と共に、筒の部分の 残尿を排泄する。このときの絞りが甘いと、パンツを穿いた後に排出されてしまう。この場合は パンツの前面がほとんど濡れるので、致命的だ。その量が余りに多いと、スーツに点として残り、 万人の知るところとなる。こうなってしまったらシャツを外に出してカバーするか、スーツのボタンを 全部止めて前が隠れるようにしなければならない。手を洗った振りをして水浸しにする手もあるが。 とにかくこれはちょっと恥ずかしい。僕がこういう格好をしているときは、ちゃんと気を遣って くださいね。こんなケースはめったにないので、メジャーな理由を探そう。

 大袈裟な出し残しは別としても、排泄と同時に先っぽを乾燥させるのは不可能だから、どうしても 湿り気程度のおしっこは残ってしまうだろう。その湿り気は皮を経由するときもあるが、結局は パンツによって拭き取られる。水気は体温による乾燥で何とかなるが、匂いだけは消すことが できそうもない。ただし、これはペーパーでの拭き取りで解決できる。しかし、男が小便器の前で ペーパーに染み込ませている様子を僕は見たことはない。そんなことできるか。である。おしっこは 振って終わらせるものである。

 そこでおちんちんを振り回すわけだが、おちんちんを振る時、滴が飛び散ることが多々ある。問題は この滴の行方だ。うまく外に出ればいいが、その前に傷害物がある。それはパンツに直接のときも あるし、毛のときもある。また袋の部分のひだひだや皮、指などにも着く可能性は否定できない。 おしっこは一日10回以上はするだろうから、そのうち一回でも失敗すれば、それは直に匂いの 原因になる。そして人間はその失敗もあえて想定した上で、パンツを穿き、定期的に交換するわけだ。 いわばパンツは砦なのだ。

 次が体液ですね。ただし、このケースは時間帯が限定される。朝一番か、夜寝る前か。朝一番は いうまでもなくあれのことで、僕も若い頃はHな夢のあとはパンツを覗き込んだものだった。こんな 時は親に知られないように朝シャンだ。夜のほうでも寝る直前の情事ならば、翌朝のシャワーで 解決される。問題は中途半端な時間帯でのあれです。我慢汁で汚す場合もあるだろうし、不十分な 拭き取りもあるだろう。パンツに滲むケースもあるし、狩の部分に溜まって固形化するパターンも あるだろう。体液のしみは、独特の匂いがあり、それは栗や青竹で表現されるから・・・。段々話に 品がなくなってきた。

 三大原因のあとではインパクトの弱さが目立つが、汗も原因の一つだろう。汗は全身でかくものだ。 その汗も外気に触れていればすぐに乾燥するが、乾燥しにくい場所もある。脇の下がそうであり、 足の指もそうである。そしてパンツの内側も外気とは遮断されている。つまり靴下が匂うのと同じ 理由で、パンツも臭くなるのだ。汗が、古い皮膚(アカ)と接合してその証しとして匂いを放つの だろう。そして湿り気のあるパンツはなにより穿き心地が悪く、匂いも伴っていれば、だれもが 取り替えたくなるものである。

 逆に言えば、以上の原因を回避できればパンツを何日でも穿いていいはずである。最大の原因と されるおしっこを、大の部屋で丁寧に拭き取り、前戯も後戯もおろそかにせず、おなかは 冷やさないようにして、汗を掻いたらパンツの中までハンカチで拭けばいいし、パンツが汗で 湿らないように、パンツの内側にハンカチなりを張ればいいのだ。パンツと肌の接着面を 少なくすれば良いのだ。ハンカチを肌にあてがい、そのハンカチをこまめに取り替えることで、 匂いも湿り気も解決できる。ハンカチなら濡れていても恥ずかしくないし、どこででも洗える。 そうだ。パンツの内側にハンカチを忍ばせよう。そうすればパンツに、匂いなどつこうはずも ありません。ハンカチの活用によリパンツは理論上一枚あればよく、取り替える理由もなくなって しまうのだ。

 巷ではパンツの裏表を替えて穿く人がいるようだが、邪道である。細心の注意を払ったパンツは 常に清潔であり、前後裏表を替えることに実益はないことは今の説明で十分だろう。さあ、今日から 実践だ。さらばパンツの匂い、である。

 そうそう、僕がハンカチを丁寧に洗っていたら、ちゃんと手伝ってくださいね。

目次へ    HOME    コラム2へ
Copyright (C) 1999 Yuji Nishikata All Rights Reserved.