デュジャック
試飲日 2001年10月14日
場 所    神奈川県内某所       
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ産AOCワイン
生産者 Domaine DUJAC (Morey-St-Denis)
Vintage 1996
テーマ デュジャック 再登場。
ワイン Gevrey Chambertin 1er Cru Aux Combottes
 
<12/09 et 12/15 再試飲>
 液温19℃・抜栓後すぐINAOへ。共に神奈川県某所・蛍光灯。
 茶色系の混ざり合った赤系のやさしい色合いである。焦がした栗きがやさしく鼻から抜けていく。まさにデュジャーク節である。ただ、前回感激した味わいには程遠い。うまみ成分はあるものの、すぐに去っていってしまうからである。バイバイと手を振って去っていく姿がなんとも寂しすぎたりする。ワイン・コメンテーターの芳しくない得点通りの味わいである。けっしてまずいわけではない。滑らかな喉越しと、繊細な味わいはデュジャーク節そのものである。ただ残念なことに余韻がない。二度続けて余韻がない。至極残念である。

 やはり、である。デュジャークは93年から下降線をたどり、96年は残念な年であるとの評が真実味を増している。そして世代が変わり、1997・1998とV字復活を遂げたとの確信を持つに至ったりする。1996というブルゴーニュの赤にとって偉大な年にして、デュジャークという優れた造り手にして、この味は残念である。ジャーク・セイスの最後の年は意外にあっけなかったりする。

 このワインは難しいかもしれない。デュジーク節を紹介するのにはもってこいだが、初めての人には1997か1998を薦めたい。また未試飲ながら、1990やブルゴーニュの目標とされた80年代後半のデュジークの味を知りたい。ビンテージと造り手の二枚看板があるため、この年のデュジャークは決して安くないからだ。
 1996という偉大な年を語るには、他の造り手のほうが説明しやすい。そしてオー・コンボットという特級ワインがひしめき合うグランクリュ街道にあってなぜか一級という畑の位置も説明したくなってくる。地図参照。なかなか通心を刺激してくるところが楽しいワインである。個人的な結論としては、このワインはデャジャークの一つのあり方として大いに楽しみたいところである。


以下10/14試飲の本文
<味わい>
 極薄い赤系の色合いにして味わいそのものは黒系の味わい。この極薄いルビー色は、ジュブレ・シャンベルタンの一級ワインとしては拍子抜けするほど鮮やかな色合いである。この薄い色こそデュジャーク色とも言え、造り手の個性がワイングラスに満ち満ちている。感激の一杯である。香りも極めて上品である。この紅茶を焦がしたようなアロマはなんとも心地よい。黒系果実を基調としながら、透き通るような澄んだ香りは極上の一杯を予感させる。さあ、いよいよ試飲タイムである。

 う、うまい。口に含めばやさしい味わい。それでいて芯はしっかりとしているから不思議である。凝縮感があるのに柔らかい。柔らかくてうまみ成分に満ち溢れている。デュジャーク色に染まった空間は、ちょっとやそっとでは演出できないゆとりである。やさしい飲み口にもかかわらず、しっかりとジュブレ・シャンベルタンのスケールをしっかりと表現している。

 やさしいだけではない、真の力強さを内に秘めた本当のおいしさをジャック・セイスは飲み手とドメーヌ・デュジャークに伝えようとしているのではないだろうか。一説によると1996年をもって当主ジャック・セイスはワイン造りの全工程に携わることを終了したらしい。最後のワインとも言えるワインであり、この技法は後継者に受け継がれていくのだろう。少なくとも1997は受け継がれていると思うので、今後に期待である。

 ちなみにワインコメンテーターの評価は下記の通りであるが、個人的にはあと数ポイント足されるべきではないだろうか。この点だと美味しくないように思われるのが、残念至極である。本当はもっとうまい。そう信じてやまない。なお、今回のテイスティングに関して、日頃大変お世話になっているもう一人の某氏に感謝申し上げます。
  
 ロバート・パーカー 89-91
 スティーブン・タイザ 86(?)

<ドリンキングレポート>
 モレサンドニ 1997


以上


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