＜シャサーニュ・モンラシェ　クロ・サン・ジャン　赤＞
　抜栓後すぐINAOグラスに。真上から見つめると茶色見がかったルビー色で、真横から眺めると輝きのある澄んだルビー色になっている。果物を思わせる甘いアロマからスタート。澄みわたる強さとでも言おうか、スレンダーにしてキリリと筋が一本入っているかのようなエレガントな味わいである。強くしっかりした味わいに、イチゴのような果実味が加わっている。時間と共に栗のような温かみのある香りが出て、ついにはソーセージ香のような、湿った毛皮系の動物香もうっすらと感じられた。
　素直においしい。コートドニュイの赤とも違い、コートドボーヌの赤のアペラシオンとも違い、このやさしさがシャサーニュの赤なのだろう。否、ラモネの赤なのだろう。いわゆる細身の超美人と銀座あたりですれ違ったあと、思わず振り返るあの感覚に似ている。しっかりと心に届くうまみ成分。コートドニュイの村名クラスと同じ価格体にして、この味があったかとびっくりさせられる。感謝である。
　畑はシャサーニュモンラッシェ村の中心部にあり、市街地の西側である。


＜シャサーニュ・モンラシェ　クロ・ド・ラ・ブドゥリオット　赤＞
　抜栓後すぐINAOグラスへ。ううう。もっとうまいぞ。クロ・サン・ジャンとほぼ同系色。やや黒が入っているかもしれない。前作がスレンダーな超美人系の味わいだったのに対し、脂肪がひとまわり付いたような、ふくよかなエレガントさがある。細身ながら、ややぽっちゃりした着やせするタイプというのだろうか。いい。モレサンドニ村のデュジャークがシャサーニュを造るとこんな感じかなと、思いは巡る。癒されているような、なんとも言いがたい心地よさがある。下司な例えを続けるならば、ぬるま湯にじっと浸かったまま、ぼーとしているあの安堵感に似ているかもしれない。カラメルを口に含みながら、鼻歌交じりにぬるめの露天風呂にゆったりつかって・・・。なんだか脱線しすぎて意味不明になりつつある。味わいのラストには塩っぽいミネラル分を感じ、ワイン単独で飲んで良し、料理と合わせても良しと思わせる味わいに、つくづく感謝である。前作とは500円の価格差があり、なるほどワインの価格の違いが手に取るように分かったりする。
　畑は市街地の南側、サントネに向かって二股に分かれる道沿いの左手にある。


＜参考＞
　1998 ACブルゴーニュ赤


以上