マルキ・ダンジェルヴィーユ
試飲日 2001年12月16日
場 所    神奈川県内某フレンチレストラン     
照 明 白熱灯
種 類 フランス AOC赤ワイン
生産者 Domaine Marquis d'Angerville (Volnay)       .  
Vintage 1999
テーマ 小鹿に
ワイン Volnay 1er Cru CLOS DES DUCS

<ヴォルネイ・クロ・デ・デュック>
 鮮やかな赤系果実味果実香。この澄んだ色合いは、ブルゴーニュならではであり、これぞエレガントの極みである。熟した赤系果実の甘いアロマが立ち上り、スパイシーさも持ち合わせている。果実味豊かで、奥行きのある味わい。うまい。繊細で貴賓に溢れる優雅なヴォルネイである。

 今回は某店にて小鹿料理に合わせてみた。ワイン選ぶとき、数あるブルゴーニュの中からこのワインを選んだとき、某店のマダムが優しく語りかけてきた。「小鹿ちゃんと同じ色をしてますよ」。本日のメイン料理に、マルキ・ダンジェルヴィーユを。マダムの微笑みの訳は、抜栓後すぐにブルゴーニュ・グラスへサービスされたワインが語りかけていた。ホストテイスティングにもかかわらず、少量を口に含んだだけで思わず、ほくそえんでしまった。クロ・デ・デュックの酸味が小鹿のソースに絶妙にあい、赤身の残る柔らかい鹿肉にやさしく染み込んでいく。感激である。ヴォルネイの斜面に、小鹿の足跡が残っているような、そんな余韻に浸ることが、悦びに通じている。

 某店のブルゴーニュグラスは思いのほか大きく、ややもすると酸味が立ちかねない。酸っぱくなったらせっかくの料理もワインもケチがつきかねない。時間はおくべきではない。この透き通るルビー色と、それを狙い落とす白熱灯のスポットライト。グラスの脚に揺らめくルビー色に心奪われつつも、味わいが優雅なときに飲み干そう。飲み干した後は、しばらく甘く焦がしたブーケがやさしく漂っていた。感激である。やはりワインは食事と共に。年に一度あるかないかの贅沢な夜を彩るのは、ヴォルネイ。この夜のために、ワインを飲んできてよかったと思える最高の瞬間であった。

 同席させていただいた某夫妻と某夫妻、某女史そして気さくなマダムと某シェフに、この場を借りて感謝申し上げる次第である。


<マルキ・ダンジェルヴィーユ>
 ブルゴーニュのドメーヌ元詰ワインの誕生は、このマルキ・ダンジェルビーユの功績が絶大である。偽物ワインが横行していた1930年代に、ワイン商に果敢に挑戦し、対抗処置として初めてドメーヌ内で瓶詰めした経緯はワインの専門誌に詳しい。貴族Ducだからこそ成し得た逸話の一つである。AOC法を研究するには、このドメーヌが深く関わっているので、その筋の文献を大いにあたりたいところである。
 ドメーヌはヴォルネイを代表し、このクロ・デ・デュックが看板ワインの一つである。畑は石垣(クロ)で四方を囲われており、この村を訪れるなら是非寄ってみたい名畑である。


以上
 


目次へ    HOME

Copyright (C) 2001 Yuji Nishikata All Rights Reserved.