メゾン・ルロワ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2001年12月22日 | |||||||||||||||||||||||
<はじめに> 今回は某夫妻提供により、メゾンルロワのワインを堪能させていただいた。レポートに先立ち感謝申し上げる次第である。 <シャンボール・ミュジニ 1984> 抜栓後すぐINAOへ。ふくよかなチョコレート香で充満するブーケは極上のシャンボールを予感させる。黒系果実味に熟成の頂点を極めた深みのあるガーネットである。1984というブルゴーニュにとって残念な年のワインを今飲むとどうなるか、香りは天下一品であり、口に含むまでの僅かな時間に言い知れぬ期待が高まりつつある。 しかしである。味わいは残念ながらピークを超えていた。酸味が強調され、果実味よりは水分的な要素を感じてしまう。しょうゆ風味系のワインである。けっして痛んではいない。ただ飲むタイミングが今日ではなく、数年前だっただけに過ぎない。盛を過ぎて、下り坂をゆっくり降りて、だいぶ下山してしまった、そんな味わいである。頂上での思い出をチョコレートに残し、帰る場所を探している。17年の歳月を振りかえりつつ、熟成の変遷を想像できる。どんなカーブを描いてきたのだろう。フレッシュな果実味から始まって、熟成の深みを増して、そして老いていく。そんな思いもブルゴーニュの古酒を楽しみ方である。この余裕がうれしい。 リスキーであり、ギャンブルチックであるブルゴーニュの古酒。パーカーをして早飲みタイプと言わしめたビンテージにして、ルロワは熟成を空想させる楽しみをもたらした。並の造り手ならば、このチョコレートは出せないだろうし、飲み込むことも困難な味わいになりかねない。しかしルロワは、ワインとして17年間の歳月を振り返させる。こんな出会いもまたワインの悦びである。 その1へ 以上 |