ドニ・モルテ
試飲日 2001年12月27日
場 所    自宅       
照 明 白熱灯
種 類 フランス ブルゴーニュ産AOCワイン
生産者 Domaine Denis MORTET  (Gevrey-Chambertin) 
Vintage 1996
テーマ ドニ・モルテの伝説のビンテージ
ワイン Bourgogne ALIGOTÉ
 
<味わい>
 室温よりやや低め。抜栓後すぐINAOグラスへ。若干赤見がかった透明感のあるくすんだ金色。某女史によれば、この赤見は樽のエキスが染み出た結果ではないかとのアドバイスが説得力を持って聞き入れられた。抜栓直後はボトルから柑橘と花が混ざり合ったフレッシュなアロマが勢い良く飛び出してきた。これは期待できると思いつつ、グラスに注ぐもそのアロマは一瞬にして消えてしまったようで、樽香が強く感じられた。樽を燻しきれずに途中で出してしまったようなカラメルに似た不思議な木の香りである。口に含めば、もっさり感がしてピノ・ブランの存在を意識する味わいである。シャルドネ的な要素はあまり感じられない。穀物を感じるのはカラメル似の香りの影響だろうか。体温と同じになるまで口の中でもてあそび、飲みこむとアリゴテ特有のすっぱさがしっかり感じられた。余韻はそれほどない。総じて、よくできたアリゴテという感じがして、料理と合わせたらおいしそうである。時間が経つにつれて、すっぱさが目に染みる。この酸っぱさは決して痛んでいるためではなく、アリゴテの特徴が引き出されているためであろう。
 それにしてもこのアリゴテが造られてから5年の歳月が経っている。早飲みタイプの葡萄品種をここまで熟成させる技術には脱帽である。


<ドニの1996>
 ドニ・モルテは1996ブルゴーニュ・シャルドネの強烈な印象が今も残っている。同じ年のマルサネ・ロンジュロワとACジュブレ・シャンベルタンのすばらしさを知ってしまったからには、このアリゴテはなんとか試飲したい逸品のひとつであった。それが実現したのである。
 ブルゴーニュ・シャルドネに比べるとこのアリゴテは残念な味わいであるが、このアリゴテというランクを考えれば、決して否定的な感想を漏らす必要性はない。アリゴテそのものだからである。しかし、大のドニ好きを公言するものとして、あの伝説が再来しなかった事実を嘆きたいのである。1年半以上も前、ACブルゴーニュ・シャルドネを試飲したがために、このドリンキング・レポートはスタートされたも等しい。コート・ド・ニュイのシャルドネにして特級コルトン・シャルルマーニュを彷彿とさせる偉大な味わいだったからである。その偉大な年のブルゴーニュ・アリゴテである。飲まずにはいられないし、あの味を共有する人たちにも是非味わっていただきたいアリゴテなのである。
 伝説は封印された。アリゴテで伝説を再構築しようと思わないでもなかったが、ドニ・モルテは白のアペラシオンを持たないジュブレ・シャンベルタン村の赤ワインの造り手なのだから、見当違いな期待と言われても致し方ない。まずは飲んでなんぼである。確かにドニ・モルテの白は1996意外パッとしない。1996が本来の実力を大きく飛び越えただけなのかもしれない。本領の赤で、大いに堪能させてもらえれば良いのかもしれない。年明けに某所で1999ビンテージの水平テイスティングが実施されるとの情報もあり、何とか参加したいものである。


<アリゴテ>
 ブルゴーニュ・アリゴテはACブルゴーニュ内でアリゴテ種を使って醸造されたワインであり、ランクはシャルドネを使ったACブルゴーニュの下になる。アリゴテと明記されるもののシャルドネ種を混ぜても問題なく、その比率は特に明言されなかったりする。アリゴテはどこのドメーヌも少なからず造っているようで、モレ・サン・ドニのペロミノやムルソーのコシュ・デュリやミクルスキもラインナップに加えている。そしてこのアリゴテで過去最高の味わいを発揮しているのは、マダム・ラルー・ビーズ・ルロワ個人所有のドメーヌ・ドーブネである。ドニ・モルテの倍以上の価格で取引されているが、その味わいはルロワ女史の意地や根性や哲学を痛感する逸品であり、最もお買い得なドーブネとして揺るぎ無い評価を得ている。そのドーブネに迫った逸品がドニ・モルテの1996ブルゴーニュ・シャルドネであり、一度でも肩を並べた勇姿こそ評価される事由なのだろう。


<おまけ>
 おもわず今回のアリゴテを数本買ってしまった。しばらくはワイン会の度に持参するので、ぜひお試しいただきたかったりする。またそろそろドニ・モルテ垂直なども実施したいこの頃である。 


以上


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