コシュ・デュリー | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年01月04日 | |||||||||||||||||||||||
<味わい> 抜栓後すぐINAOへ。やや冷たさを感じる温度。透明感のある黄金。INAOから勢いよく立ちこめるアロマに、柑橘系のそれが一発目に飛び込んできた。入れ替わるようにして定番、燻したヘーゼルナッツが、バター香とともにもわんもわんしている。甘いショートケーキのような華やかさと、キノコが育ちそうな奥深い燻し香が、絶妙に混ざり合い、これはもうコシュ・デュリ節としか表現できない極上の香りである。派手になりがちなアロマではあるが、コシュ・デュリの巧みな技によって上品さを保ちつつ、なんとも雅である。味わいも香との統一感があり、しっかりした酸に支えられ、今も、将来も極上のおいしさを約束している。複雑にして長い余韻。心踊るとはまさにこのワインに当てはまる。偉大である。 これを単なるACムルソーとして扱うには、なんとも解せないが、一流の造り手の特級ワインすら凌駕する価格を考えれば、至極当然な味わいに、納得するような、安く感じるような、なんだか金銭感覚が麻痺するから不思議である。超一流の造り手のワインは、そういうものなのだ。 時間と共に燻し香が、焦し香に代わってくる。いつまでも、いつまでもINAOグラスに鼻を押し当てて、その溜め息交じりの極上の香に酔いしれていたい。時よ止まってくれ。このムルソーが焦げている間は。 No.5261 <半年前の同一キュベ> 2001年7月26日にも某所にてこのワインは堪能している。当時はコント・ラフォンとの飲み比べであった。参考として下記のとおり紹介してみたい。おいしいワインを時間を変えて楽しむ悦びは、なんとも優雅である。 やや薄い金色にして、エッジに緑が入っている。INAOグラスから溢れ出る燻し香は、これぞコシュデュリー節であり、同じ燻し香にしてドーブネのそれとは明らかに異なるアロマである。もうこのアロマだけで快楽の世界を堪能してしまっている。この燻し香は豊かさを伴い、温かみのある極上のアロマである。時間の経過と共に複雑さを増し、口に含む毎に細胞が震える感激がある。うまい。これは本当にうまい。土壌香も加わる頃には濃密さも増していて、これぞムルソーの楽しみそのものである。 この1998のムルソーはキュベ・ナルボーであり、幸運にもすでに数回のテイスティングを経験させてもらっているが、飲むたびに、味わうたびに感激に包まれる。同じワインを何本も味わうといい加減飽きてくるものだが、ことコシュデュリに関しては常に新鮮な味わいがあり、この境遇に感謝して止まないところである。 全文はこちら。 以上 |