ジャン・ラフェ
試飲日 2002年01月13日
場 所    神奈川県某所     
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOCワイン
生産者 Jean RAPHET (Morey-St-Denis)
Vintage 1999
テーマ 水平テイスティング
ワイン Gevrey-Chambertin Les Combottes
Gevrey-Chambertin Lavaut St.-Jacques
Clos de Vougeot
Charmes-Chambertin

<1級 ジュブレ・シャンベルタン コンボット>
 抜栓後すぐINAOへ。液温24℃。若干ムラサキを含んだ黒系果実の色合いで、エッジには透明感がある。黒系果実の甘いアロマが埃っぽく立ちこめて、柔らかさの中にふくよかな味わいを持っている。余韻も長く、優雅なワインである。味わいがストレートな分かりやすさを持っているので、はじめてブルゴーニュを体験する人に最も受けが良いかもしれない。女性に例えるならば、ふくよかなぽっちゃりタイプ。


<1級 ジュブレ・シャンベルタン ラヴォー・サン・ジャーク>
 抜栓後すぐINAOへ。液温22℃。ムラサキが前面に出た黒っぽいルビー色である。黒糖を焦したような甘いアロマが、ふくよかさを想像させるが、味わいは一転して端正である。ミルキーでしっかりとして奥行きを持っている。端正であるがゆえに、初心者にはただ辛いだけの印象を与えかねず、サービスが少しばかり難しいかもしれない。ただしジュブレ愛好家にはとっておきのワインかもしれない。女性に例えるならば、足首がきゅっと締まった知性派かな。


<特級 クロ・ド・ヴージョ>
 抜栓後すぐINAOへ。液温24℃。ムラサキのない黒系の深いルビー色。温かみのある甘みが基調で、その丸みはとろけるような柔らかさである。若干、皮のエキスを感じる渋味はあるものの、するりと入る滑らかさが特級の実力である。大変おいしいワインであり、1999にして早くも完成された味わいでもある。女性に例えるならば、ちょっと頬を赤らめて寄り添ってくる・・・。明らかにジュブレの一級との間には川が流れている。その川は一度渡ってしまったならば、決して戻れない境界線である。


<特級 シャルム・シャンベルタン>
 抜栓後すぐINAOへ。液温24℃。基本的な味わいは3日前と同じである。ムラサキのない深みのあるルビー色。皮のエキスを感じるものの、ふくよかな味わいはクロ・ド・ヴージョよりも熟成を必要とする構造を持っている。海外でのテイスティング評が95点と、ヴージョより1点高い理由はそこにあるのだろう。女性に例えるならば、誘惑してくるのに、追えば逃げてしまうタイプであり、うまく事が運べば快楽の・・・。


<まとめ>
 今回の4本はネゴシアンものの絵のエチケットである。未確認ながら、北米市場用はドメーヌものの地味なエチケットは評判が悪く、絵画バージョンに統一されているという。テロの影響は定かではないが、いったん北米に輸送され、日本に辿り着いた逸品である。ノースバークレイ社が関係しているらしいが、エチケットにはReserveの表記はなく、謎は深まるばかりである。

 味わいの基調はラフェ節全開であり、アペラシオンの特徴は押さえつつも、基本的には造り手の個性のほうが前面に出ている。ラフェを知るにはもってこいのシリーズであり、並べて飲む楽しさがある。数人で飲んだため、瞬間的に味がわかる温度に設定したが、小人数で飲む場合は、もう少し温度は下げたほうが長時間楽しめ、味わいの変化も期待できる。ただしあまり冷やしすぎると1999という若さゆえ、渋味が強調されかねないので、注意も必要である。タンニンは果実味に隠れているため、このワインの熟成後の姿は想像しにくい。今飲んでおいしく、将来もおいしいだろうが、熟成の醍醐味がどこに現われてくるか想像しにくかったりする。
 そしてラフェはガツンガツンと押し寄せるタイプではなく、しっとりやさしいうまみを提供するので、飲み手の力量も問われる。個人的には、ラフェをおいしく飲めればブルゴーニュの虜に、失敗すればブルゴーニュから遠ざかる可能性を秘めたなんとも微妙な造り手と思っている。


以上
 


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