ジャン・クロード・ベラン | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年02月24日 | |||||||||||||||||||||||
<コルトン・シャルルマーニュ 1999> 抜栓後INAOグラスへ。液温19℃。質感を伴った輝く金色。おっといきなりである。マロンフレーバーがかなりの勢いで立ち込めてくる。マロングラッセを思わせる極上の香りは、ブラウンシュガーや焦がしたカラメルを従えて、これぞ特級コルトン・シャルルマーニュであると主張している。このマロンは途中で途絶えることもなく、最後の一滴まで薫りたっている。味わいはしっかり辛口で、やや苦味も感じつつ、とろりとした食感の後に残る旨み成分が唾を溜めさせる。欲を言えば、フィニッシュに若干の物足りなさは感じるものの、このアペラシオンの典型的な味わいは、開けて安心、飲んでうれしい逸品である。 このワインは、コルトン・シャルルマーニュ以外の何物でもない。コルトン・シャルルマーニュとはどんなワインなのかを知るには、まさしくベストなワインである。標準というか基準というか。ルイ・ラトゥール社のそれもこのアペラシオンの標準的な役割を果たすが、そちらは生産量が多く、ボトルバリエーションや樽のバリエーションも多く、なかなかこれぞというコルトン・シャルルマーニュには出会えなかったりするが、このベランのワインは典型的なコルトンシャルルマーニュと断言できる。 ただし、余りにも典型的な味わいのために、なにか物足りなさも感じざるを得ない。それは教科書的な、サンプル的な味わいのためだろう。コルトン・シャルルマーニュのこの味わいにプラスして何か心に訴えてくると、コシュデュリーの背中が見えてくる。そんな気がしてならなかったりする。そしてその何かこそ10倍近い価格差を生むのだろう。 <ジャン・クロード・ベラン> 前回登場のアドリアン・ベランの息子であり、後継者である。サントネイはコート・ド・ボーヌ地区の最南端にほど近く、目立たないアペラシオンではある。温泉のほうが有名だったりする。ベランはサントネイに本拠地を構えながらも、代表格のワインは特級シャンベルタンとこのコルトン・シャルルマーニュである。本拠地の近くでいいワインを造るのがブルゴーニュの特徴だが、その意味でベランは個性がある。通常、本拠地から離れるほど、ワイン評価は下がりがちになるからだ(註)。パーカーもこのドメーヌがジュブレ・シャンベルタンにあれば、ブルゴーニュを代表しうる立場に来るだろうと残念がっている。なぜこのドメーヌがブルゴーニュを代表する畑を持っているかは不思議だが、高品質の味わいと比較的(相対的に)安価であることが、このドメーヌを知る人たちにはたままらない魅力だろう。 父・アドリアンベランのレポート <おまけ> コルトン・シャルルマーニュは広い面積のためか、特級のなかでは比較的購入しやすいのかもしれない。シャンボール・ミュジニーのルーミエやサビニー・レ・ボーヌのシモン・ビーズなどコート・ドール各地から造り手が集まっている。地元は余りいない不思議なACである。 (註) 例えば、モンラシェの代表的な造り手にDRCは挙げられない。DRCがコート・ド・ニュイのドメーヌだからである。モンラシェを語るときは、ビュリニー・モンラッシェに本拠地を構えるドメーヌ・ルフレーブを筆頭にあげるのが通説となっている。ただし初回蔵出価格はDRCがトップを取ることは多い。 以上 |