ジョセフ・ロティ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2002年09月25日 | |||||||||||||||||||||||
<シャルム・シャンベルタン>
抜栓後すぐINAOグラスへ。液温20℃。黒いルビー色はこげ茶色を含み、エッジの透明感ともあいまって本格熟成の色合いだ。もろみ香が一発目にあり、茄子漬けにも似た香りや、やや湿っぽい土壌香も香っている。この香りは好みを分ける。まさに好きな人はトコトン好きだが、苦手な人(私もこっち側だ)には苦手な香りだろう。これは古酒ゆえにやむを得ないが、時間と共に消えるはずなので、しばらくは時間の経過を待ってみたい。口に含めば、リキュールっぽさはあるものの、移ろいゆく果実味が優雅に残る。なめらかな味わいに歯茎を乾かすタンニンが加わり、力強さの中に秘めたやさしさを感じることができる。強烈なインパクトこそないが、この凝縮感はいい感じである。シャルムの名の通りやさしさを基調としつつも、さすが特級の存在感も見せつけてもいる。 14年前の特級シャルム・シャンベルタンである。この味わいはあと数年は同じ基調を保てるような気がするが、個人的には数年早く飲みたかったりもする。というのも、このワイン、構造がやや崩れかけている印象があり、やっとのところで踏ん張っている感が否めないのだ。もっと果実味が豊かで、構造がしっかりしていた方がコストに見合った味わいが楽しめたと思う。これは前日某所にて飲んだ1988ボーヌ一級(アルベール・モロ)の優雅な繊細さの記憶が冷静な判断を鈍らせているのだろうか。あきらかにボーヌに軍配あり。そこが特級をして、ロティをして少し寂しかったりもする。(ボーヌは食事と一緒に飲み、使用するグラスも異なるので単純な比較はできないことは承知している) 時間と共に苦手な香りは減少し、しずかな土壌香と熟した黒系果実がかすかに香っていた。古酒ゆえに油断すると構造がなくなり、一気にへたってしまうので、短期集中的に楽しみたい一品だろう。ボトルの底には大きめの澱が幾つか点在していたが、それが確認できる頃には、このワインはその使命を静かに終えていたのであった。 以上 |