ポンソ
試飲日 2002年10月26日
場 所    神奈川県某所   
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ産AOC赤ワイン   
生産者 Domaine Ponsot (Morey st Denis)
Vintage 1995
テーマ 463
ワイン CLOS SAINT DENIS VV
 
<クロ・サン・ドニ>
 室温23℃。抜栓後すぐINAOグラスへ。推定液温22℃。極々薄いガーネットは、かつてのルビー色が落ち気味の印象を受ける(写真に残すとやや色合いが濃くなっている 下の写真参照)。直前に試飲した1996クロ・ド・ラ・ロッシュよりも儚い色合いだ。硫黄系の熟成香が漂っているが、ポンソはSO2未使用なので、この香りはなんとも不思議である。古樽のなまめかしさがそのまま伝わるような、生ぬるさがポンソ節を彷彿とさせる。口に含めば、なめらかな、角ばったところが何もない味わい。これは、完成されたピノ・ノワールの丸みを体現できる味わいだろう。しっかり辛口を維持しながら、うまみ成分がほんわかしている。酸もタンニンもすべてが丸みを帯びて、果実味すら失いつつあるものの、ピノノワールのひとつの到達点に達したかのような味わいだ。余韻も長く、熟年の味わいが楽しめる逸品。

 しかし、最近流行の果実味が豊かで色の濃いスタイルに慣れていると、この薄い色合いのなまめかしいポンソ節には戸惑いを覚えるかもしれない。ダイレクトな直球勝負的なうまさではなく、チェンジアップ気味のくねりとした感覚だからだ。タイミングをはずされた予想外の球筋と意外に手元でグイッと伸び上がる味わいは、軟投型の投手の投球術に似ていなくも無いだろう。遅い球で三振をとられた感覚だ。

 ポンソのクロ・サン・ドニは生産量が少なすぎるのが難点だ。1995年はわずか463本。そのあまりにも少ない生産量は再会の可能性を絶望視させる。クロ・サン・ドニの丘にドメーヌを構えるポンソのまさに地元中の地元ワインであり、奇跡的な出会いに感謝である。

   実際はもっと薄い印象がある。照明が入ってしまったのはご愛嬌。


以上



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