ドメーヌ・ド・ラルロ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年01月03日 | |||||||||||||||||||||||
<ニュイ・サン・ジョルジュ 1級>
室温のまま抜栓後すぐINAOグラスへ。さくら色というには少し濃すぎるルビー色。優しい赤系果実香とお花畑の地面すれすれをイメージするかのような乾いた土壌香が穏やかに漂っている。いわゆる1999特有のハイインパクトなアロマはないが、実に静かに香っている。口に含めば、ミネラルで鉱物的な印象。角の取れていないタンニンを鎮めるかのような品のある味わいでもある。濃くって強いヴァンサン・ジラルダンの後だけに、ややもすると薄い印象を感じかねないが、そこを何とか上品さでカバーしているようでもある。若干酸味を強く感じるために、すっぱみが前面に出かねないが、うまみののった繊細な味わいが楽しめる。いわゆる薄いのになぜかうまみを感じるピノ・ノワール節でもある。余韻は、長いとは言えず、この村の特徴である筋肉質で男性的な味わいを期待していると、少し違うかなと首をかすめたくもなるが、その力不足は「若木のいたり」のためだろう。しかし力不足を差し引いてもなお、このワインの上品な味わいは一飲の価値はあり、色が薄くてうまみ成分のしっかりしたワインが好みなら間違いなくマイセラーに留め置くべきワインだろう。このワインは選びようによってはかなりお買い得なワインなのかもしれない。なぜか。このワインの素性ははっきりしていて、ニュイ・サン・ジョルジュを代表しうるためである。 今回のワインはエチケットにもその表記があるように、ACニュイ・サン・ジョルジュを代表する一級畑で、ラルロの単独所有畑のClos des Forets St Georges クロ・デ・フォレ・サン・ジョルジュの若木だけから造られているスペシャルキュベなのだ。古木を謳い商品価値を高めるドメーヌは多いが、若木ゆえに単独所有畑を名乗らずに格下扱いのただ村名一級でリリースするドメーヌは少ない(註)。ここにラルロのこだわりが見える。ラルロの看板を張るにはまだ樹齢が若すぎる、ということなのだろう。若木ゆえにクロ・デ・フォレ・サン・ジョルジュを名乗らないわけであり、それはつまり、そのクロ・デ・フォレ・サン・ジョルジュの品質向上に努めるだけでなく、若木とはいえ、お手ごろ価格で同一畑のワインを楽しめる手段でもあるのだろう。ドメーヌの良心や哲学が見えるとワインが一層楽しくなるから不思議だ。 註 若木ゆえの格下げの例 : ヴォグエのACブルゴーニュブランなど 以上 |