ドメーヌ・ジョルジュ・ルーミエ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年05月26日 | |||||||||||||||||||||||
<シャンボール・ミュジニ> 地元でトップ評価のお寿司屋さんに持ち込ませていただいて抜栓後すぐ大きめのグラスへ。この美しい輝くルビー色は、今宵艶やかな夜に最も相応しいと思わせる色合いだ。イチゴやフランボワーズなどの赤系果実香が基調にあり、控えめにバニリンオークと気持ち動物香などが静かに漂っている。口に含めば、いわゆるチャーミングで軽やかな味わい。華やかな果実味が豊かで、滑らかなタンニンと果実酸のバランスも心地よい。このクラシックな味わいには媚びた甘さがなく、緩やかなうまみ成分に、ルーミエのひとつの風合いを楽しむことが出来る。渋みとは無縁の味わいながら、丸みを帯びたタンニンが優しくワインを下支えしているのもうれしい。色合いは、ピノ・ノワール種らしくかなり薄めで、余計な甘みが無い分、色合いと味わいもマッチしやすかったりもする。余韻はそれほど長くはないが、しっかりとうまみ成分を味わうことが出来れば、かなりの幸せ感がこの食空間を漂ってくれる。 シャンボール・ミュジニは女性的でエレガントなワインと表現されながら、時に荒々しく筋肉質的なシャンボール・ミュジニも数多く見受けられる(例えばギスレーヌ・バルトの1級オー・ボー・ブリャン2000など)。しかしこのルーミエの2000シャンボール・ミュジニはまさにその特徴を踏まえており、女性的で、気品あるエレガントなワインである。色合いが薄くて、赤系ベースのエレガントなワインに出会えると、個人的にとても幸せになれるからありがたい限りである。2000年は赤系ベースのため総じて低く見られがちだが、ルーミエの価値観でビンテージをはかるなら、この味わいもまた一興である。 ただし、個人的にこのワインが万人受けするとは思いづらい。色が薄く、クラシックで甘みが少なく、全体的に軽めの印象があるからだ。濃くって強いワインが好みの人には、「このワインのどこがうまいの?」と首を傾げる姿も想像できる。ルーミエは、その名声が鰻登りのため、その味わいをきっちり楽しむことが出来ないと、名前と味のギャップに苦しみかねないが、一度でもこの味わいの虜になると、完全にブルゴーニュ魂なのである。 ところでルーミエのシャンボール・ミュジニは思い出深いワインである。昨年のボーヌでの競売会の打ち上げ?でメリーゴーランド前で飲んだのは1999であり、ここ山口県のお寿司屋さんで飲んだのが2000である。両方ともルーミエのシャンボール・ミュジニながら、飲むシチュエーションもビンテージも味わいも異なるが、それぞれに心刻まれるところがワインの醍醐味でもある。1999と2000の優劣を点数化するなどして比べるのではなく、それぞれの個性や味わいを楽しめれば、きっと豊かなワインライフが送れるものと信じるこのごろである。ルーミエ恐るべし、そして感謝なのである。 以上 |