ドメーヌ・ドニ・モルテ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年06月01日 | |||||||||||||||||||||||
<マルサネ・ロンジュロワ> 抜栓後すぐINAOグラスへ。やや熟成感を伴った黒系ルビー色。香りに、おが屑香があり、ブショネの可能性を否定できないながら、黒系果実がその向こう側にあり、何とも微妙である。ブショッてると思いつつも購入から3年の月日を思い出すとき、このまま最後まで飲み干すことが、ワインへの誠意と信じ、テイスティングを続行。普段はグラスを回さないが、少し揺らしてみる。むむむ。おが屑香はなかなか消えないものの、干しイチジク系のニュアンスも漂ってくる。味わいは端正な辛口で、余計な甘みを感じさせないが、飲み込んだ後にやってくるうまみ成分によって唾も溢れ出てくるからほっとする。構造的な奥行きは感じず、若干軽めの印象は拭いきれないが、マルサネというACと7年という歳月を思うとき、妥当かなと思える位置に落ち着いたりもする。そして時間とともに甘みが出てきて、おが屑香も消えていく。代わりに紅茶系の熟成モードがようやく現れ、このワインがぎりぎりのラインで健全性を保っていることに確証を持つ。ふう、である。とにもかくにもおいしいフィニッシュを迎えられたが、総じてこのワインの飲み頃は盛りを過ぎて、下り坂に入っているような印象を受ける。ドニーと言えども、マルサネはもう少し早めに果実味を楽しみながら飲むほうが良いのかもしれない。 今回のワインは人によってはブショネとして返品されかねない微妙な味わいながら、何とかぎりぎりのラインで「○」の内側にあるように思われる。しかしレストランでの瞬間的な判断ならば、×の範疇に入れるのもやむを得ないラインにあることは確かだ。ワインの難しさを知るとともに、この状態のワインを如何においしく楽しむかもワインの楽しみの一つだろう。「ブショネ」と早急な判断を下さず、少し待ってやる余裕も欲しいこの頃なのである。 補足 ロンジュロワはマルサネ・ラ・コート村にある畑の名前 以上 ドニ・モルテ訪問記 |