ドニ・モルテ | |||||||||||||||||||||||
試飲日 2003年08月02日 | |||||||||||||||||||||||
<ブルゴーニュ 白> 少し冷やして抜栓後すぐINAOグラスへ。熟成したシャルドネがもつ深みのある金色。香りは、マロンフレーバーの勢いがすばらしく、柑橘の皮のニュアンスと燻し香が複雑に混ざり合い、リッチでふくよかなボリューム感がすばらしい。口に含めば、ん。水面っぽいニュアンスが前面にあり、酸もなく、平べったい印象だ。あああ。一言で言えば、このワインはすでにその使命を終えている、ということになりそうだ。時間とともに香りはふくよかさを増し、極上のコルトン・シャルルマーニュのみが到達しうる極上のブーケを醸しだしているが、肝心の味わいは、飲めなくはないものの、んんんと考えざるを得なかったりする。奥行き感がなく、きりりと締まる酸もない。余韻は短く、香りだけがグラスから立ち上る何とも不思議な雰囲気なのである。マロンフレーバーが、いつまでも、いつまでもリッチに漂いつづけているのである。 1996のドニ・モルテのブルゴーニュ・シャルドネは思い出深いワインのひとつである。ちょうど3年前のこのワインとの衝撃的な出会いが、WINE DRINKING REPORTの連載開始の原動力になっていたし、愛しのドニーを決定付ける要因ともなっていた。その思い出深いワインとの今宵の出会いは、ワインという儚い飲み物の宿命を感じ、ワインへの思いを一層強くさせた。このワインはACブルゴーニュというクラスにして、大銘醸地コート・ドールではなく、ディジョン近郊の畑の7年前のワインである。1996というビンテージと天才ドニ・モルテの哲学と技術が、このワインにクラスを超越した奇跡を与え、そして今、その使命を無事に終えさせたのかもしれない。ひとつのワインの熟成カーブが、線となって私の脳裏をよぎり、そして思い出へと昇華していく。非常にすばらしい経験をさせてもらい、感謝感激なのである。 ちなみに今回のワインはワインセミナーin佐倉のジュブレ・シャンベルタン特集のオープニングワインとして登場した。他のワインについては、そのセミナーのコーナーで紹介しようと思う。このワインへの個人的な思いからあえてこの場にアップしてしまいました・・・。 以上 |