ベルナール・デュガ・ピィ
試飲日 2003年12月06日
場 所    神奈川県某所     
照 明 蛍光灯
種 類 フランス ブルゴーニュ地方AOC赤ワイン
生産者 Domaine Bernard DUGAT-PY (Gevrey-Chambertin)
Vintage 2001
テーマ デュガ・ピィの超豪華三部作を極める その3
ワイン CHAMBERTIN Grand cru

<はじめに>
 
今回はスペシャル企画として、ブルゴーニュ魂が最も注目するベルナール・デュガ・ピィの特級ワイン3部作の2001年ビンテージを水平テイスティングしようというもの。フランスの評価本「Le Classement 2004」のトップ10ブルゴーニュにおいて、デュガ・ピィのマジ・シャンベルタンはロマネ・コンティを押さえ、堂々の第一位に輝き、シャルム・シャンベルタンも上位にて紹介されている。シャンベルタンがランク・インしていないのは、彼らが未試飲のためと想像でき、それは生産量200余本というあまりの少なさに起因するものと思われるが、今宵その真相を神奈川県某所で探ろうという壮大な企画がついに実現したのであった・・・。

<特級シャンベルタン>
 
抜栓後すぐデカンタに移し小一時間待ってからINAOグラスへ。かなり濃い目のルビー色で、エッジにはムラサキ色もしっかりと確認できる。香りは、意外にもおとなし目で、赤系果実がベースとなっている。イチゴ、フランボワーズ系の果実香に、カシス、ブラックベリーの黒系果実が重なろうとし、加えてブルー系とも言うべきブルーベリーのニュアンスも前面に出てきたりする。スミレやバラのニュアンスもあり、おとなしいがしっかりと複雑さを持ち合わせる優美な香り立ちである。口に含めば、球体のごとく味わいで、女性的なシャルム・シャンベルタンとも、男性的で目鼻立ちがはっきりとしたマジ・シャンベルタンとも違う印象が好奇心をくすぐり始めるのであった。この味わいは、中性的でもあるし、性差を超えた超人的な「美」がここにあることを思い知らせてくれる。「優美」「優雅」「ロマン」「気品」「フィネス」「ハーモニー」「究極」「至福」「永遠」・・・そんな言葉を連想しつつ、口から出てくる言葉は、「うまー」だったり「うわー」だったり「丸いぞ」だったりするところが寂しかったりもするこの瞬間である。
 
 時間と共に、この球体の味わいは、完璧な球になろうとし、それはあたかも水のごとくの味わいだ。バカラ社のシャンベルタングラス(リーデルのモンラシェグラスを広げたような形をしている)で頂けば、その丸いカーブにそって丸みを変形させてくる器用さが奥ゆかしい。そしてこの極めつけのうまみ成分の塊は、角ばった印象がない分、ワンテンポ遅れてやってくるが、そのレベルたるや途方も知れず、極上という言葉では言い足りないほどの完璧さなのである。この異次元レベルの高酒質は、今まで経験したことがない。もしかするとこれが、究極のワインなのかもしれない。ワインが到達しうるであろう最高の境地が、ここかもしれないと悟らせるメッセージを肌で感じ、同時に、ややもすると「あっけない」で終わりそうな丸い液体を正確に評価しうる言葉は、ちょっと見つけられそうもなかったりする。

 究極のワイン。デュガ・ピィのシャンベルタンを評するには、この言葉を当てはめるしか、今のところ手立てがないようにも思われ、新たなるブルゴーニュの旅が始まったかのような、そんな印象すら覚えるから不思議である。

 今宵の出会いに大感謝である。
 
 第一弾シャルム・シャンベルタン
 第二弾マジ・シャンベルタン

 
以上
 


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